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女坂
「女坂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
女坂の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
際《こだちぎわ》に這い拡がって行った。口も利かずに黙って腰かけているお島は、ふと
女坂を攀登《よじのぼ》って、石段の上の平地へ醜い姿を現す一人の天刑病《てんけいび....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るぐると逃げまわって、穴八幡の近所へ来た頃には、あたりは全く暮れ切った。男は暗い
女坂を逃げのぼるので、半七も根《こん》よく追って行ったが、坂上の手水鉢《ちょうず....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
。妾の口から申しますのも何でございますが、ここから四軒目のカフェ・オソメの旦那、
女坂染吉がたいへんいけないんでございますよ。このネオン横丁で、毎日のように啀み合....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
。秩父宮様の行啓の碑があった。 白山――白山を縦走してやろうと思って尾添から美
女坂道を登ることにした。ところが地図には堂々と道があるが、行ってみると炭焼の道が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
えてみると九十八級あります。 幅が狭いだけに勾配《こうばい》が急に見える。別に
女坂というのはないのですから、お豊はこの石段の上に立って見上げていると、十日ほど....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
煙でない処は残らず屋根ばかりの、大阪を一目に見渡す、高津の宮の高台から……湯島の
女坂に似た石の段壇を下りて、それから黒焼屋の前を通った時は、軒から真黒な氷柱が下....
「私の小説」より 著者:坂口安吾
はその時まで、私が情痴作家とよばれてゐることなど、知らなかつた。呆れたことには、
女坂口安吾とよばれてゐる女流情痴作家がゐるといふフザケた話だから、私も遂にギョッ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
て駈けつけてきた玄正は、薄汚れた鼠いろの衣の袖をかき合わせながら秋晴れの天神様の
女坂のクッキリと見える明るい裏二階に寝かされている次郎吉の枕許にピタリと坐って太....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
から下を臨むと、村の尽くるところに田が在る、畑がある、富士川の河原の向うには三坂
女坂などの峠が連なって、その上に富士が見える。大きな景色もあるが、小さな画題は無....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
時分はよしと三十人近い黒|装束、一度にムクムクと立ち上がった。 裏道を下りて、
女坂の中途から右へ入ると、もう五尺と隔てては人影の見えない山神の森。そこを、ちり....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
のない捕縄の端で、牛を懲らすようにひッぱたく。 そして、半死半生にさせながら、
女坂をゴロゴロと蹴転がして行った。 すると。 雪のような月影をふんでまだら石....