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「女帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

女帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
敷包が半分出ているのに目が着いた。不審に思い、中を開けて見ると現われたのが一筋の女帯。 驚くまいことか、これがお政が外出《そとゆき》の唯《たっ》た一本の帯、升....
行人」より 著者:夏目漱石
見たい気がした。けれどもそれほどの度胸がなかった。そのうち彼女の坐っている見当で女帯の擦《す》れる音がした。 「姉さん何かしているんですか」と聞いた。 「ええ」....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
を現わして、不安そうに白骨を眺めている大島主任を呼びかけた。 「司法主任殿、之は女帯の一部らしいですよ」 「成程、君の云う通りらしいね」 司法主任はじっと布片....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
てみる。麓の家で方々に白木綿を織るのが轡虫が鳴くように聞える。廊下には草花の床が女帯ほどの幅で長く続いている。二三種の花が咲いている。水仙の一と株に花床が尽きて....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
もと云い切らぬうち、つと起き上ッたお勢の体が……不意を打たれて、ぎょッとする、女帯が、友禅《ゆうぜん》染の、眼前《めさき》にちらちら……はッと心附く……我を忘....
新しい美をつくる心」より 著者:宮本百合子
だろうか。 きのう用事があって高島屋の店の前を歩いていたら、横の方の飾窓に古い女帯や反物の再生法の見本が陳列されていた。染物講習会が開催されているのであった。....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
新薬の広告から、活動写真のプログラム、カフェーのステンドグラスから、銘仙の新柄、女帯の模様の新工夫、軍艦の構造にいたるまで、それは構成的であり立体派的であり、シ....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
。桔梗、萩、女郎花、一幅の花野が水とともに床に流れ、露を縫った銀糸の照る、彩ある女帯が目を打つと同時に、銑吉は宙を飛んで、階段を下へ刎ね落ちた。再び裾へ飜えるの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
高いところは一面の蜘蛛《くも》の巣がすっかり粉をかぶっている。 そこに一本長い女帯が、だらしなく解けほごれて、蛇のように横たわっているではないか。 それ、そ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
旒を製して薩州屋敷に納めるよう――世間へは、薩州家の重役が国への土産《みやげ》の女帯地を求めるのだと申して置け」 「委細、心得ました、必ずともに御信用に反《そむ....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
おげんは姪とこんな言葉をかわして、そこそこに退院の支度をした。自分でよそゆきの女帯を締め直した時は次第に心の昂奮を覚えた。 「もうお俥も来て待っておりますよ。....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
――蛇を産み落としたのである。しかしそれは、黒繻子と、紫縮緬とを腹合わせにした、女帯であった。女帯は、地上に、とぐろを巻き尻尾にあたる辺を裏返し、その紫の縮緬の....
おせん」より 著者:邦枝完二
と眼についたのは、良人の居間に大事にたたんで置いてある、もみじを散らした一|本の女帯だった。 買った衣装というのなら、誰に見しょうとて、別に邪間になるまいと思....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
人《かちょうびじん》の掛物《かけもの》につきて、その蚊帳の緑色《りょくしょく》と女帯《おんなおび》の黒色《こくしょく》との用法の如き全く板画に則《のっと》りしも....