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「女持ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

女持ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
卓子《テーブル》に倚《よ》りかかりながら、レエスの窓掛けを洩《も》れる夕明りに、女持ちの金時計を眺めている。が、蓋の裏に彫った文字《もじ》は、房子のイニシアルで....
路上」より 著者:芥川竜之介
》で廻しながら、じろりとその時計を見て、 「すばらしい物を持っているな。おまけに女持ちらしいじゃないか。」 「これか。こりゃ母の形見だ。」 俊助はちょいと顔を....
星座」より 著者:有島武郎
まで坐っていたところにきちんと坐った。そして煙管筒を大きな音をさせて抜き取ると、女持ちのような華車《きゃしゃ》な煙管を摘みだした。 三十分ほどの後、新井田氏と....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ゃ」 「なるほど、知恵伊豆様のおさし金でござりましたか、その変事とやらは?」 「女持ちのこのふた品じゃ、かような品が浮いているからには、昨夜のうちに入水《じゅす....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
早道である。役所の帰りに荷車を引いて帰る男、制服のズボンで我慢をしている会社員、女持ち洋傘《こうもり》を翳《さ》して行く役人なぞいう式は、いくらでも見付かる。番....
少女病」より 著者:田山花袋
桃色の、輪郭の丸い、それはかわいい娘だ。はでな縞物に、海老茶の袴をはいて、右手に女持ちの細い蝙蝠傘、左の手に、紫の風呂敷包みを抱えているが、今日はリボンがいつも....
うつり香」より 著者:近松秋江
を何で拭こうかと迷っていた。 「ああ拭くもの?……これでお拭きなさい」 お宮は女持ちの小さい、唐草を刺繍した半巾を投げやった。 柳沢はそれで掌先を拭いて、そ....
足迹」より 著者:徳田秋声
叔母に睨まれて奥の方へ逃げ込んで行った。 小原は袱紗に包んだ紙入れのなかから、女持ちの金時計を一つ鎖ごと取り出して、ランプの心を掻き立て、鎖の目方を引いたり型....
ウォーソン夫人の黒猫」より 著者:萩原朔太郎
ら書卓の抽出《ひきだし》を開け、象牙《ぞうげ》の柄に青貝の鋳《い》り込んでいる、女持ちの小形なピストルを取り出した。そのピストルは少し前に、不吉な猫を殺す手段と....
泣虫小僧」より 著者:林芙美子
円は大金だ。寛子は油気のないばさばさした髪に櫛をとおしながら、昨夜持って帰った、女持ちの青いハンドバッグが気にかかって仕方がなかった。 「一寸《ちょっと》見せて....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
いてある。ところを、大木魚の下に、ヒヤリと目に涼しい、薄色の、一目見て紛う方なき女持ちの提紙入で。白い桔梗と、水紅色の常夏、と思ったのが、その二色の、花の鉄線か....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
うにかがやいていた。そのなかでも Claridge の館表だけを一枚貼った深紅の女持ち帽子箱と、二人のゴルフ棒を差した縞ズックの袋とが人眼を引いてるようだった。....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。マグロアールは筒襞《つつひだ》のある白い帽子をかぶり、頭には家の中でただ一つの女持ちの飾りである金の十字架をつけ、大きい短かい袖のついた黒い毛織りの長衣からま....
ヤトラカン・サミ博士の椅子」より 著者:牧逸馬
生《しばふ》、帽子のうしろに日|覆布《おおい》を垂らしたシンガリイス連隊の行進、女持ちのパラソルをさして舗道に腰かけている街上金貸業者、人力車人《リキシャ・マン....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ん。ちょっと。」 戸を開けて、立ちながら密と呼ぶと、お絹は、金煙管に持添えた、女持ちの嵯峨錦の筒を襟下に挟んで、すっと立った。 前髪に顔を寄せ、 「何だか落....