好晴[語句情報] »
好晴
「好晴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
好晴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
雪の下のホテルH屋に麻川氏と同宿して避暑して居た。 大正十二年七月中旬の或日、
好晴の炎天下に鎌倉雪の下、長谷、扇ヶ谷辺を葉子は良人と良人の友と一緒に朝から歩き....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
うな」 こう言って型のごとき薬を医師はくれた。 春のような日であった。連日の
好晴に、霜解けの路もおおかた乾いて、街道にはところどころ白い埃も見えた。霞につつ....
「狂乱」より 著者:近松秋江
ずさず高雄の紅葉を見に往きたいと思っていると、幸い翌日はめずらしい朗らかな晩秋の
好晴であったので、宿にそれといいおいて、午少し前からそっちへ遊山に出かけていった....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
であるのか。 こんなことを考えながら、あの快く広い窓のガラス越しに、うららかな
好晴の日光を浴びた上野の森をながめたのであった。(昭和五年一月、渋柿) ....
「藤の実」より 著者:寺田寅彦
はじけたというのは、数日来の晴天でいいかげん乾燥していたのが、この日さらに特別な
好晴で湿度の低下したために、多数の実がほぼ一様な極限の乾燥度に達したためであろう....
「時事雑感」より 著者:寺田寅彦
光のさした二階食堂でその朝突発した首相遭難のことを聞き知った。それからもいまだに
好晴の金曜がつづいている。昼食後に研究所の屋上へ上がって武蔵野の秋をながめながら....
「野道」より 著者:幸田露伴
は、過日|絮談の折にお話したごとく某々氏|等と瓢酒野蔬で春郊漫歩の半日を楽もうと
好晴の日に出掛ける、貴居はすでに都外故その節お尋ねしてご誘引する、ご同行あるなら....
「初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
東京市の地と空とが妙にいつもより美しく見えるようである。ことに今年は実際に小春の
好晴がつづき、その上にこの界隈の銀杏の黄葉が丁度その最大限度の輝きをもって輝く時....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
い立ち渦巻くあわただしさと変った。だが、結局高い澄み切った青空の下で北欧の中秋の
好晴の日は静粛な午後を保っていた。 彼は街を足駄で歩いて居た。堅く尖った足駄の....
「四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
である。 労れて、酔うて、ぐっすり寝た、瀬音も耳につかなかった。 十一月十八日
好晴、往復四里、おなじく。 山のよろしさ、水のよろしさ、人のよろしさ、主人に教え....
「荘子」より 著者:岡本かの子
なわけで御座います」 土間から裏口に通じる扉の外で荘子の咳払いが聞えた。それは
好晴の日の空気に響いた。田氏はほほ笑み乍ら立ち上った。 「夫が参りましたようです....
「草と虫とそして」より 著者:種田山頭火
かに人来て去ねば萩の花散る――は歳月を超えて私たちの胸を打つ。 今日はあまりの
好晴にそそのかされて近在を散歩した。そして苅萱を頂戴した。 素朴な壺に抛げこま....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、船は雲かすむほの暗さを破るようにして行くのである。) 五月二十八日(日曜)、
好晴。軽風暖を帯び、穏波碧を送る。宛然、春海の洋々たるがごとし。午前十時半、礼拝....
「若狭春鯖のなれずし」より 著者:北大路魯山人
おける魚類の七、八割は他国もので満たされている始末、現に私の行ったときなど、天気
好晴でありながら、地の春さばは、わずかに十五、六本しか市場に顔が見られないといっ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
受性にうったうる自然の感化は山国生活の最も尊重すべき事の一つである。 で、私は
好晴の日を見ては屡々山岳の茸を訪問する。敢て訪問するというのは、毒茸が多くて食す....