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「好物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

好物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、 「何と、爺《じい》もそう思うであろうな。もっともその方には恋とは申さぬ。が、好物《こうぶつ》の酒ではどうじゃ。」 「いえ、却々《なかなか》持ちまして、手前は....
猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
った。それが横這《よこば》いに歩いていると、握り飯が一つ落ちていた。握り飯は彼の好物だった。彼は大きい鋏《はさみ》の先にこの獲物《えもの》を拾い上げた。すると高....
高野聖」より 著者:泉鏡花
なって、それ馬市で銭《おあし》になって、お銭《あし》が、そうらこの鯉に化けた。大好物で晩飯の菜になさる、お嬢様を一体何じゃと思わっしゃるの)。」 私《わたし》....
朱日記」より 著者:泉鏡花
。それ、日曜さ、昨日は――源助、お前は自から得ている。私は本と首引きだが、本草が好物でな、知ってる通り。で、昨日ちと山を奥まで入った。つい浮々と谷々へ釣込まれて....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
なぎ屋へ御案内致しましょうか? おッ母さんも一緒に来て下さい」 「それは何よりの好物です。――ところで、先生、私はこれでもなかなか苦労が絶えないんでございますよ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
印税の一部も。 ◯エホンの稲垣さん来宅。自園でとれた南京豆一袋いただく。子供の大好物なり。原稿料を持参せられ、又次のものを頼まる。それと共に橋本哲男君の原稿をか....
地球盗難」より 著者:海野十三
冷やしてあったビールを搬んできた。それは大隅学士の心尽しだった。 「やあ、俺の大好物が出てきたな。これはすまん」と佐々はゴクリと喉を鳴らした。 「ビールの満を引....
春昼」より 著者:泉鏡花
怪訝な眉を臆面なく日に這わせて、親仁、煙草入をふらふら。 「へい、」 「余り好物な方じゃないからね、実は、」 と言って、笑いながら、 「その癖恐いもの見た....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
います。家内と来たらポテト料理にかけては素敵な腕を持っていますからね。ポテトが大好物の烏啼がこの企てをするのはもっともなことで、どちらかというと遅すぎる位のもの....
大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
まみれになって、次々に号令を下していた艇長辻中佐は、三郎の持って来た思いがけない好物の飲物をうけとって、たいへんよろこんだ。 「ああ、艇夫。お前はなかなか気がき....
星女郎」より 著者:泉鏡花
一 倶利伽羅峠には、新道と故道とある。いわゆる一騎落から礪波山へ続く古戦場は、その故道で。これは大分以前から特別|好物な旅客か、山伏、行者の類のほか、余り通らなかった。――ところで、今度境三造の....
」より 著者:犬田卯
聞包みを母の方へ押しやった。 「おみやげだ。何にもなくて駄目だっけ。」 母の大好物の鰹の切身を彼は汽車を降りた町で買って来たのである。それに、別に少しばかりの....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
っちのけで片端からムシャムシャと間断なしに頬張りながら話をした。殊に蜜柑と樽柿が好物で、見る間に皮や種子を山のように積上げ、「死骸を見るとさも沢山喰ったらしくて....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
して、定刻に出勤して少しも寝不足な容子を見せなかったそうだ。 鴎外は甘藷と筍が好物だったそうだ。肉食家というよりは菜食党だった。「野菜料理は日本が世界一である....
活人形」より 著者:泉鏡花
は思い当る事あれば、なおも聞かんと亭主に向い、「談してお聞かせなさい、実に怪談が好物だ。「余り陰気な談をしますと是非魔が魅すといいますから。と逡巡すれば、「馬鹿....