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「如実〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

如実の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女体」より 著者:芥川竜之介
た》まったように動かなかった。――楊は、虱になって始めて、細君の肉体の美しさを、如実に観ずる事が出来たのである。 しかし、芸術の士にとって、虱の如く見る可きも....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
穿った穴を見ると、涙の出るほど嬉しかった。それはいかに浅くとも、自分が精進の力の如実《にょじつ》に現れているものに、相違なかった。市九郎は年を重ねて、また更に振....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
て、ただ茫然と主従の決闘を見守るばかりであった。 忠直卿は、自分の本当の力量を如実にさえ知ることができれば、思い残すことはないとさえ、思い込んでいた。従って国....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は著しい気候の悪化、その結果として氷河が陸地を覆い、民族の移動の起ったことを最も如実に表現している。それで、北国人らが、いつかはまたもう一度フィムブルの冬が襲来....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
せる。けれども、その顔は日本人には稀らしいくらい細刻的な陰影に富んでいて、それが如実に彼女の内面的な深さを物語るように思われた。のみならず、最も印象的なのは、そ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、青雲社の同人は他にまた幾人か、すべておなじ装をしたのであった。 ただしこれは如実の描写に過ぎない。ここに三画伯の扮装を記したのを視て、衒奇、表異、いささかた....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
軽くて、無限の重さのあったカテリイヌの体重さえも太陽に熱くなったズボンの下の膝に如実に感じられるのだった。そしてだん/\新吉は疲れて行った。 新吉は堪らなくな....
眉の記」より 著者:上村松園
口ほどにものを言い……と言われているが、実は眉ほど目や口以上にもっと内面の情感を如実に表現するものはない。 うれしいときはその人の眉は悦びの色を帯びて如何にも....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
出したような気がして、年老いて情慾の衰えないことが、いかに醜悪なものであるか――如実に示されていた。 そのせいか、大きな花環を抱いているそのすがたにも、どこか....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
ある、西洋の逆態である。西洋と東洋とは、いろいろなものが逆であるが、本もその例を如実に示している。表紙を本文に綴じ合せる方法は西洋では早く姿を没したが、日本では....
想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
写実ではないという人もあろう。無論本当の美術としての写美にはなっていない。物象の如実感が「美」にまで達していない。 しかし或る人々がそれを写実ではないという意....
大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
どうも買う勇気は出ない」(阪神夜店歩き)と云うその告白が猿股についての彼が関心を如実にあらわして居る。 彼の画がそうであるように、其随筆も亦彼の鋭い神経と敏い....
日本画と線」より 著者:上村松園
によって、物体の硬軟や疎密は言うに及ばず、物その物の内面的実質までもその気持ちを如実に出すの妙があるのです。それでありますのに今の日本画家の内の多分の人は、この....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ワ、チョェ、チャンというのは、このごときの法においてという意味で、すなわち宇宙間如実の真法において論ずというので、それから問答を始めるです。 その問答は因明の....
何を作品に求むべきか」より 著者:小川未明
実に、この経験者自身を措いて、他には決してないであろう。 所詮、芸術は、いかに如実に、現実を再現しようとしても、たゞ、事件それのみを語ることを目的としたり、畢....