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如才
「如才〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
如才の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
角帽を脱いで黙礼した。が、藤沢は、俊助の世慣れない態度とは打って変った、いかにも
如才《じょさい》ない調子で、
「御噂《おうわさ》は予々《かねがね》大井さんから、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
へ立つと、この縁はきっと結ばる、と易が出たので、大きに鬱ぐ。 もっとも売卜者も
如才はない。お源が行ったのに較べれば、容子を見ただけでも、お蔦の方が結ばるに違い....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
。意中の美人はねんごろに予を戸口にむかえて予の手のものを受けとる。見かけによらず
如才ない老爺は紅葉を娘の前へだし、これごろうじろ、この紅葉の美しさ、お客さまがぜ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
しばらく大事だから、よく気をおつけなさい。――先生にも頼んでおきたいんです、の。
如才はございますまいが、青木さんが、井筒屋の方を済ましてくれるまで、――今月の末....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ずつ買うことにした。 「それも尾行を使いにやるんですね。」 そんなことにはごく
如才のないMがそう発案して、一人でにこにこしていた。 家からつい近所までKが一....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、一条心得ていそうでならない。 昨夜も、芝居で……」 男衆は思出したように、
如才なく一ツ手を拍った。 「時に、どうしたと云うんですえ、お珊さんが、その旦那と....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
に見えるので有ったが、如何にも其眼元に愛嬌が溢れていた。然うして云う事|為る事、
如才無く、総てがきびきびとして気が利いていた。若い時には斯うした風のが、却って男....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
一例がある。京伝もまた相当な見識を具えてひと癖もふた癖もあったが、根が町家生れで
如才なく、馬琴と違って酸いも甘いも心得た通人だったから人をそらすような事は決して....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
滑脱で、誰にでもお愛想をいった。決して人を外らさなかった。召使いの奉公人にまでも
如才なくお世辞を振播いて、「家の旦那さんぐらいお世辞の上手な人はない」と奉公人か....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
。ブツクサいうものが誤っておる。 が、沼南の応対は普通の社交家の上ッ滑りのした
如才なさと違って如何にも真率に打解けて対手を育服さした。いつもニコニコ笑顔を作っ....
「鰯」より 著者:岩本素白
老いた師匠が、鶯でないところが面白いんですよ、と言ったのは、必ずしも遊芸の師匠の
如才ないところから、そう云ったのでもあるまい。やはり芸ごとをやって暮して来た程の....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
ンに腰かけていた四十過ぎの女も、頻りに京都に通信を宛てているのを見ました。京都は
如才なくその手紙を嬉しそうな身振りをしてざっと読み、故意と手から離すに忍びないと....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
料貸しなのである。指輪や時計の交換などもやるので、重宝がられているのだった。彼は
如才ない調子で、お世辞を振りまきながら、女中が茶菓を運ぶのに出たり入ったりしてい....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
れ、戻った時は手のつけられないやんちゃになっていました。しかし機嫌のよい時は実に
如才のない、頓智のある気の利いた子でした。 小学校へ入ると直ぐ級長になり、明朗....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
かかり、御依頼したい件が出来た、至急にお出でを願いたい、と云ってきた。 有松は
如才ない男だ。殊に婦人に対しては慇懃で物優しく、まことに立派な紳士であるが、どう....