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妄執
「妄執〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
妄執の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
がら蛆虫《うじむし》のようにきたなく見えた。……何のために今まであってないような
妄執《もうしゅう》に苦しみ抜いてそれを生命そのもののように大事に考え抜いていた事....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
関心な自律的遊戯をしている。一言にしていえば、媚態のための媚態である。恋の真剣と
妄執とは、その現実性とその非可能性によって「いき」の存在に悖《もと》る。「いき」....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
けた。彼は、足下の薪束を茫然と見つめながら迷った。迷った末に、彼は辛うじて自分の
妄執に打ち勝った。 が、自分の心が不安でならなかった。一旦は思い捨てても、どう....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
とすればどうでも父親を殺さねばならぬ。子としての道を歩もうとすれば、母親の臨終の
妄執を未来|永劫解くことが出来ず、浮かばれぬ母親の亡魂をいつまでも地獄へ落として....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
しゃった。…… すべて、それが魔法なので、貴女を魅して、夢現の境に乗じて、その
妄執を晴しました。 けれども余りに痛しい。ひとえに獣にとお思いなすって、玉のご....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
美貌の神将であるごとく見えたのが、たちまち清く麗しき娘を迷わすために姿を変じた、
妄執の蛇であると心着いたが、手も足も動かず、叫ばんとする声も己が耳には入らなかっ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
げられてある。杵鈴を錘に置いて開かれている面と云うのは、「五障百六十心等三重赤色
妄執火」と云う一節だった。 「この一巻を始めから唱えていたとすると、此処迄に何分....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
法師様にお目にかかり、何彼とお話しを承わり且は尊いお舞いを拝見致して居ります中、
妄執次第に晴れ渡り、今は此世に思い置く事何一つとしてござりませねば今夜を限りに此....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
めぬ限り、同じ生物でも強い個性を持たぬだけに自然の元素に分解されやすい。動物には
妄執がある。特に錯綜した妄念によって繋がれているのが人間である。人間はそこに罪深....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
に残っていたそうな。……ではあのお部屋にはあのお方の、いまだに浮かばれない修羅の
妄執が、黴と湿気と闇とに包まれ、残っておることでございましょうよ。なにより幸い、....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ません。兄もどんなにか草葉の蔭で、喜んでいることでございましょう。おそらく修羅の
妄執も、これで晴れたことでございましょう。……では、どうして敵と出会い、どんな具....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
、安閑としてはいられなくなり、 「頼母、そち、左門を探し出し、討って取り、父上の
妄執を晴らせ」 ということになり、さてこそ頼母は、復讐の旅へ出たのであったが、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
ようぞ、 「妹よ、澄江よ、天の賜物、敵陣十郎を見出したるぞ! 討って父上の修羅の
妄執、いで晴そうぞ続け続け――ッ」と刀引き抜き群集を分け、無二無三に走り寄った。....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、はっきりしていた。神の恩寵と栄光のもとに生きた人であった。一つだけこの世に残す
妄執がある。おれには異教徒を焼き殺す誠意がたりなくはなかったか? もちろん、彼は....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
あるという真理のことです。それを仏教は信じさせようとするのです。但し、私たちに迷
妄執着の凡心がありますから、それがこの自覚を妨げて、そのために私たちは不自由、不....