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「妄想〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

妄想の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
しかしわたしに言わせれば、悪人よりもむしろ雌の河童につかまることを恐れている被害妄想《ひがいもうぞう》の多い狂人です。……そこでこの雌の河童は亭主のココアの茶碗....
女体」より 著者:芥川竜之介
楊某《ようぼう》と云う支那人が、ある夏の夜、あまり蒸暑いのに眼がさめて、頬杖をつきながら腹んばいになって、とりとめのない妄想《もうぞう》に耽っていると、ふと一匹の虱《しらみ》が寝床の縁《ふち》を這って....
路上」より 著者:芥川竜之介
「しかし天才は天才だが、気違いはやはり気違いだろう。」 「そう云う差別なら、誇大妄想狂《こだいもうぞうきょう》と被害《ひがい》妄想狂との間にもある。」 「それと....
或る女」より 著者:有島武郎
恐れて宿にとじこもったまま、火鉢《ひばち》の前にすわって、倉地の不在の時はこんな妄想《もうそう》に身も心もかきむしられていた。だんだん募って来るような腰の痛み、....
星座」より 著者:有島武郎
さすがに渡瀬は我れに返った。そしてさすがに自分を恥じた。おぬいさんは渡瀬が今まで妄想していたところよりあまりかけ離れた清いところにいた。彼は書物の方に顔を寄せな....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
さいの近代的傾向を自然主義という名によって呼ぼうとする笑うべき「ローマ帝国」的|妄想《もうそう》から来ているのである。そうしてこの無定見は、じつは、今日自然主義....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
あるに相違ない。それで、たとえば太陽の上にも生物があると言ったような考えは永久に妄想の領土に放逐されるべきである。 哲学者は一般に生命永久継続説の信奉者であり....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
恐ろしく感じて早々家に帰った。省作はこの夜どうしても眠れない。いろいろさまざまの妄想が、狭い胸の中で、もやくやもやくや煮えくり返る。暖かい夢を柔らかなふわふわし....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、その余生をまったく酔いどれのように送った。そうして、酒がもたらすところの楽しい妄想の代りに、彼は恐ろしい悪夢に絶えずおそわれ、昼夜を分かたずその悪夢の毒気を吸....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
お目に懸けた臆病です。それを弁解するんじゃないが、田圃だの、水浸しだの、と誇大に妄想した訳ではありません。 実際、そんな目に逢って、一生忘れられん思をした事が....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
味気ない、さびしい、なさけない……何が何やら自分にもけじめのない、さまざまの妄念妄想が、暴風雨のように私の衰えた躰の内をかけめぐって居るのです。それにお恥かしい....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
るにわれ等は、飽まで不可知を不可知とし、苟且にも憶測を以て知識にかえたり、人間的妄想を以て、絶対神を包んだりしないのである。われ等の歩まんとする道は、臆測よりは....
歯車」より 著者:芥川竜之介
」 僕等はそんなことを話し合ったりした。しかし僕の家は焼けずに、――僕は努めて妄想を押しのけ、もう一度ペンを動かそうとした。が、ペンはどうしても一行とは楽に動....
甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」より 著者:井上円了
、さらに感ぜざりき。これらの試験によれば、狐狸の類が憑付せりとの説は、全く無根の妄想なること明らかなり。 つぎに予は、かの口笛のごとき怪声がいずれの所より発す....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
なりとするの論は、理学、哲学の証明せるところにして、造物主を立つるの論は、古代の妄想を保守するに過ぎず。その理は、余が『仏教活論』中に論示せるところなり。 政....