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妓楼
「妓楼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
妓楼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
い相談だった。窓という窓には眼隠しの板が張ってあって、何軒となく立ちならんでいる
妓楼《ぎろう》は、ただ真黒なものの高低《たかひく》の連なりにすぎないけれども、そ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
の町には、まだ桜が多く植えられていなかった。その頃の夜桜というのは、茶屋の店先や
妓楼の庭などへ勝手に植えられたもので、それが年中行事の一つとなって、仲の町に青竹....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
した。上州一円に廃娼を実行したのは明治二十三年の春で、その当時妙義の町には八戸の
妓楼と四十七人の娼妓があった。
妓楼の多くは取り毀されて桑畑となってしまった。磯部....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
吉原の廓内にありまして、引手茶屋を商売にいたしておりました。江戸の昔には、吉原の
妓楼や引手茶屋の主人にもなかなか風流人がございまして、俳諧をやったり書画をいじく....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
つか聞くところによると、婆さんは、西郷隆盛などが維新の志士として東三本樹あたりの
妓楼で盛んに遊んでいたころ舞妓に出ていて、隆盛が碁盤の上に立たして、片手でぐっと....
「縮図」より 著者:徳田秋声
の町の閑静な住宅地に三年ほど前に新築した本宅があり、仙台の遊廓で内所の裕かなある
妓楼の娘と正式に結婚してから、すでに久しい年月を経ていたが、猪野が寿々廼家の分け....
「足迹」より 著者:徳田秋声
郎の手に掴まってそこを渉った。四方はシンとしていた。 広い通りへ出ると、両側の
妓楼の二階や三階に薄暗い瓦斯燈が点れて、人影がちらほら見えた。水浅黄色の暖簾のか....
「爛」より 著者:徳田秋声
る船着きの町の遊郭には、入口の薄暗い土間に水浅黄色の暖簾のかかった、古びた大きい
妓楼が、幾十軒となく立ちならんでいた。上方風の小意気な鮨屋があったり、柘榴口のあ....
「ピンカンウーリの阿媽」より 著者:豊島与志雄
)の特殊な高楼がある。 このピンカンウーリは、現在はどうなってるか分らないが、
妓楼であった。広い中庭をかこんで、円形になってる六階建てのもの。一階は店屋であり....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
た道々を、毎日車で通います。野菜市場の混雑を過ぎ、大橋を渡って真直に行けば南組の
妓楼の辺になりますが、横へ曲って、天王様のお社の辺を行きます。貧民窟といわれた通....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
てその一画を出て、大連第一の花柳界の、その第一の娼家と云われる「第一号」と称する
妓楼へ乗りつけた。 そうしてその家の美形蘭亭という遊女の部屋へ通った。 「この....
「枯尾花」より 著者:関根黙庵
、下総の東金に親類が有るので、当分厄介になる心算で出立した途中、船橋と云う所で某
妓楼へ上り、相方を定めて熟睡せしが、深夜と思う時分|不斗目を覚して見ると、一人で....
「挿話」より 著者:徳田秋声
居の景気ををたずねて、場所の都合がどうかと言ってきた。お芳のいるのは土地の大きな
妓楼で、金瓶楼という名を、道太はここへ来てから、たびたび耳にしていた。それはお絹....
「春心」より 著者:田中貢太郎
うか」 「いい」 広巳はむぞうさに飯櫃の蓋を除って飯をつけて喫いだした。品川の
妓楼へ一泊した広巳は、家へかえるのが厭だから、朝帰りの客を待っている小料亭へあが....
「雨」より 著者:織田作之助
暗く境内にある祠の献納提灯や灯明の明りが寝とぼけた様に揺れていた。そこを出ると、
妓楼が軒をならべている芝居裏の横丁であったが、何か胸に痛い様な薄暗さと思われた。....