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「妖艶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

妖艶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
小さな汽船の中の社会は、あらわには知れないながら、何かさびしい過去を持つらしい、妖艶《ようえん》な、若い葉子の一挙一動を、絶えず興味深くじっと見守るように見えた....
或る女」より 著者:有島武郎
にある四六細型《しろくほそがた》の美しい表装の書物を取り上げて見た。黒髪を乱した妖艶《ようえん》な女の頭、矢で貫かれた心臓、その心臓からぽたぽた落ちる血のしたた....
みちのく」より 著者:岡本かの子
青い匂《におい》がした。古風な紅白の棒の看板を立てた理髪店《りはつてん》がある。妖艶《ようえん》な柳《やなぎ》が地上にとどくまで枝垂《しだ》れている。それから五....
高野聖」より 著者:泉鏡花
を穿《うが》たば、正《まさ》に驪山《りさん》に入って、相抱《あいいだ》くべき豊肥妖艶《ほうひようえん》の人が、その男に対する取廻しの優しさ、隔《へだて》なさ、深....
家霊」より 著者:岡本かの子
には陰と陽とあってな――」と工人らしい自負の態度を取戻す。牡丹《ぼたん》は牡丹の妖艶ないのち、唐獅子の豪宕《ごうとう》ないのちをこの二つの刃触りの使い方で刻み出....
深夜の市長」より 著者:海野十三
の間から、懊しい年盛りの女の香気がムンムンと立ちのぼってくるような気がした。その妖艶な肢体を望んでいると、僕はなぜかこの女を犬のように心安く扱う「深夜の市長」の....
階段」より 著者:海野十三
それでは図書室であろうと思って、間の扉を図書室へ開いたその途端であった。奇妙とも妖艶ともつかない婦人の金切声が頭の上の方から聞えたかと思うと、ドタドタという物凄....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
扇がピクピクと宙を喘いだ。――そこで曲目は断層をしたかのように変化し、奔放にして妖艶かぎりなき吸血鬼の踊りとなる――この舞台のうちで、一番怪奇であって絢爛、妖艶....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
敏捷でしかも瀟洒な姿態である。そして、このとき今まで彫刻的に見えた小初の肉体から妖艶な雰囲気が月暈のようにほのめき出て、四囲の自然の風端の中に一|箇不自然な人工....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、一幅の中へ縮まった景色の時、本堂の背後、位牌堂の暗い畳廊下から、一人水際立った妖艶いのが、突きはせず、手鞠を袖に抱いたまま、すらすらと出て、卵塔場を隔てた几帳....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
魔と称え、蝙蝠に似た嘴の尖った異形なものが、長襦袢を着て扱帯を纏い、旅人の目には妖艶な女と見えて、寝ているものの懐へ入り、嘴を開けると、上下で、口、鼻を蔽い、寐....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
残っていて、象牙のようななめらかな肌や、その美しい形の丸みは、死の後までも一種の妖艶をとどめていました。 わたしはそれから言葉に尽くせない長い思索に耽りました....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、女神にささげ物の、みの、髢を授けると、小さな河童の形になる。しかしてあるものは妖艶な少女に化ける。裸体に蓑をかけたのが、玉を編んで纏ったようで、人の目には羅に....
活人形」より 著者:泉鏡花
しも心附かざりき。額襟許清らに見え、色いと白く肉置き好く、髪房やかに結いたるが、妖艶なることはいわむ方無し。美人は正坐に堪えざりけん、居坐乱して泣きくずおれ啜り....
情鬼」より 著者:大倉燁子
S夫人が云った。その瞬間、私の頭の中をすうッと掠めたある影――、それは宮本夫人の妖艶な姿であった。 小田切大使の自殺に宮本夫人を引張り出すのはちょっと可笑しい....