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妙境
「妙境〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
妙境の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鍵屋の辻」より 著者:直木三十五
又右衛門の師、柳生|但馬守《たじまのかみ》宗矩《むねのり》などはこの点に於てその
妙境に到達している人である。禅でも心の無を重んじるが剣も心を虚《むなし》くする事....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
しろの柱によりかかって、いとも安らかに白河夜船です。まことに、これこそ剣禅一味の
妙境に違いない。剣に秀で、胆に秀でた達人でなくば、このうごめく人の中で、しかも胡....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を沸した湯に頸まで浸って、直ぐ傍を流るる川音を聴いて居ると、陶然として即身成仏の
妙境に入って了う。
夜|上利別のマッチ製軸所支配人|久禰田孫兵衛君に面会。もと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うことで、以前の軽佻粗暴はその面影《おもかげ》もなく、おのずから至人《しじん》の
妙境が現われて来たそうです。 剣を取る時は平青眼《ひらせいがん》にじっとつけて....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ザな真似をすれば、この男は、やにわに立って叩きのめしたくなる病があると共に、事の
妙境に触るるを見てとった時には、我を忘れて心酔するの稚気《ちき》があるのです。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
憂いがないと見なければなりません。 さればこそ与八のわからないお経も、ようやく
妙境に入って、聞く人をしておのずから、神心を悦嘉《えつか》せしむるのかも知れませ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
自由と、乱雑とは、意味を異にする。修練を経て天分が整理されると、初めて自由の
妙境が現われる。自由が発して節に当ると、それが型となって現われる。 小人は、乱....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、米友が手練の入興はようやく酣《たけな》わになりまさって行って――ようやく忘我の
妙境に深入りして行く。 トコトンヤレ トンヤレナ 口合いの口拍子だけは、い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て踊るのだから、潮吹《ひょっとこ》が道庵だか、道庵が潮吹だかわからないくらいに、
妙境に入《い》っているのであります。 合奏の興を破られて、敵意を持っていた大尽....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
この事を思い出して心中で泣いた事がある。これは実に対蹠的な世界だ。そうした愛の至
妙境を味わっていたから余計苦しかったのだろう。もっと荒く育てられていたら耐えよか....
「書について」より 著者:高村光太郎
く、いつの間にか、性格まる出しの、まねてまねられない、或は奇逸の、或は平明清澄の
妙境に進み入り、殊に老年にでもなると、おのずから一種の気品が備わって来て、慾も得....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
……六……』と数を読み初める。かくする事一二分、心臓の鼓動は鎮まって、無念無想の
妙境に達する。この瞬間、彼が魔のごとき洞察力、彼が満身の勢力、彼が徹底せる熟慮と....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
、息もつけずにその夢幻的な世界に魂を打ちこんでしまうのです。 私はこの能楽の至
妙境は、移して私どもの絵の心の上にも置くことができましょうし、従って大きな益を受....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ますます苦しくなる訳でありますから、まあここで本当に苦しいところを押し強く坐禅の
妙境に入ってみようというような具合で自分の心を転じたです。するとその辺の場所の愉....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
て行く。軽からず重からざる心の使い方。速過ぎず遅過ぎぬ生命の流れを流して行き得る
妙境。こここそ、仏教の修業の目指すところであります。 母という不思議な存在を 子....