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「妻戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

妻戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
いたらば、再度《ふたたび》思う人に逢われることと工夫をしたのであるが、吾々二人は妻戸一枚を忍んで開けるほどの智慧《ちえ》も出なかった。それほどに無邪気な可憐な恋....
変な音」より 著者:夏目漱石
この戸を開けて行くのが例になっていた。自分は立って敷居の上に立った。かの音はこの妻戸《つまど》の後《うしろ》から出るようである。戸の下は二寸ほど空《す》いていた....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
くなると、うっすりと月が朧に映すように、大路、小路、露地や、背戸や、竹垣、生垣、妻戸、折戸に、密と、人目を忍んで寄添う風情に、都振なる雪女郎の姿が、寒くば絹綿を....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
そろ なにとて君様つれなさよ 忍踊りを一踊り 君様を、思いかけたる庭の花 うらの妻戸を忍び入る 忍踊りを一踊り 忍び入り、君の枕に手をかけて ここでこの夜を明か....
曠野」より 著者:堀辰雄
ような、殆ど快いもの思いに変りだした。…… なかば傾いた西の対の、破れかかった妻戸《つまど》のかげに、その夕べも、女は昼間から空にほのかにかかっていた繊《ほそ....
ほととぎす」より 著者:堀辰雄
ひさし》の間にお通しさせる事にした。道綱が出て往って、「さあ、どうぞ」と言って、妻戸をあけ、「こちらから――」と促すと、頭の君はそちらへちょっと歩みかけられたが....
源氏物語」より 著者:紫式部
年のことであるから家の侍などが追従して出迎えたりはしないのでまずよかった。東側の妻戸《つまど》の外に源氏を立たせて、小君自身は縁を一回りしてから、南の隅《すみ》....
源氏物語」より 著者:紫式部
間ここへ寄っていてくれ」 と言って、右近を寝床のほうへ引き寄せておいて、両側の妻戸の口へ出て、戸を押しあけたのと同時に渡殿についていた灯も消えた。風が少し吹い....
源氏物語」より 著者:紫式部
くと何の気なしに下男が門をあけた。車を静かに中へ引き込ませて、源氏の伴った惟光が妻戸をたたいて、しわぶきをすると、少納言が聞きつけて出て来た。 「来ていらっしゃ....
源氏物語」より 著者:紫式部
源氏は思っていた。日の出るころまでもゆるりと翌朝はとどまっていたのである。東側の妻戸をあけると、そこから向こうへ続いた廊がこわれてしまっているので、すぐ戸口から....
源氏物語」より 著者:紫式部
女一《にょいち》の宮《みや》、女三の宮が住んでおいでになるのであるが、そこの東の妻戸の口へ源氏はよりかかっていた。藤《ふじ》はこの縁側と東の対の間の庭に咲いてい....
源氏物語」より 著者:紫式部
かえて、力強い若さにあふれた、公子らしい風采《ふうさい》で出て来た。源氏は西側の妻戸の前の高欄にからだを寄せて、霜枯れの庭をながめている時であった。荒い風が吹い....
源氏物語」より 著者:紫式部
の欄干によりかかって、しばらく源氏は庭をながめていた。中納言の君は見送ろうとして妻戸をあけてすわっていた。 「あなたとまた再会ができるかどうか。むずかしい気のす....
「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
ったのだろうか、やがてそう云う小女房を押しあけて内に入って小督の殿のいらっしゃる妻戸の間の縁にいざりよって云ったのには「どうしてこんな御住いにいらっしゃいました....
法然行伝」より 著者:中里介山
ょうにん》と称んでいた。なお庵室の西一丁余り隔てて一間四面のお堂を建てて、お堂の妻戸に庵室の戸を開け合せるようにし、仏前の燈明を摂取《しょうじゅ》の光明と思って....