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「妾宅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

妾宅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
玄鶴はお芳を囲い出した後、省線電車の乗り換えも苦にせず、一週間に一二度ずつは必ず妾宅《しょうたく》へ通って行った。お鈴はこう云う父の気もちに始めのうちは嫌悪を感....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
一 お蓮《れん》が本所《ほんじょ》の横網《よこあみ》に囲われたのは、明治二十八年の初冬《はつふゆ》だった。妾宅は御蔵橋《おくらばし》の川に臨んだ、極《ご》く手狭な平家《ひらや》だった。た....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
という母親の手紙が来たのは、もう三日も前のことだった。春隆の父は五年前に、築地の妾宅で睡眠中に原因不明の死に方をし、兄は映画女優のあとを追うて満州へ行ったきり、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
意気地がありませんね。ははははは。しかしおまんは竜濤寺に同居しないで、深川の方に妾宅風のしゃれた暮らしをして、うわべは囲い者かなんぞのように見せかけて、時々に寺....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
を、日本橋辺のある大店《おおだな》の番頭に引かされて、今ではここに小ぢんまりした妾宅を構えているのであった。その日は昼間から旦那が来て五ツ頃(午後八時)に帰った....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
大隊長|箕輪《みのわ》主計《かずえ》之助は六百石の旗本である。それが代地河岸に妾宅を持っていようとは、根井も今まで知らなかったのである。箕輪も勿論、秘密にして....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
り合わせていたのは確かにお俊であったが、彼女が伊勢屋に引かされた後、銀之助がその妾宅へ出入りしていたかどうかはよく判らないと云うのであった。 しかも以上の探索....
自叙伝」より 著者:大杉栄
、末川家のさらに幾倍もの贅沢に少々驚かされた。 家は上と下とに二軒あった。下は妾宅で上は本宅だった。長男が一人本妻の子でしかもそれは馬鹿で、あとはみな男も女も....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
た五十男だった。真佐子の母親であった美しい恋妻を若い頃亡くしてから別にささやかな妾宅を持つだけで、自宅には妻を持たなかった。何か操持をもつという気風を自らたのし....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
田と云うのが夫婦で居た。 その突当りの、柳の樹に、軒燈の掛った見晴のいい誰かの妾宅の貸間に居た、露の垂れそうな綺麗なのが……ここに緋縮緬の女が似たと思う、その....
光は影を」より 著者:岸田国士
門柱には、たゞ、「富田」という標札が出してあるきりで、浜田の説明によると、たぶん妾宅の一つだろうということであつた。 応接間に通された二人は、あたりを物珍しそ....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
る、一家の斉整家庭の調和など殆ど眼中になく、さアと云えば待合曰く何館何ホテル曰く妾宅別荘、さもなければ徒に名利の念に耽って居る輩金さえあれば誰にも出来る下劣な娯....
式部小路」より 著者:泉鏡花
き頃|音羽青柳の横町を、 式部小路となむいえりける。 名をなつかしみ、尋ねし人、妾宅と覚しきに、世にも 婀娜なる娘の、糸竹の 浮きたるふしなく、情も恋も 江戸紫....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
え」と命じて、また蒲団の中へもぐり込んだ。 少しも睡られない。それで彼は新町の妾宅に出かけた。芸者の顔を見ても少しも面白くない。彼はまた夜中に自宅まで引返した....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
た。 なお万一の場合を考慮し、疑いを避けるために妻と一緒にいた時間を、五番町の妾宅に居ったように、よく妾に云いふくめておきました。 しかし妻が自殺したとなる....