委す[語句情報] »
委す
「委す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
委すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「芥川の事ども」より 著者:菊池寛
作家としての彼が、文学史的にいかなる位置を占めるかは、公平なる第三者の判断に
委すとして、僕などでも次のことは言えると思う。彼のごとき高い教養と秀れた趣味と、....
「爛」より 著者:徳田秋声
家などへ出入りしていた。店を潰してしまったその商人は、才の利く浅井に財政の整理を
委すことにしていた。浅井はほかにも、いろいろの仕事に手を染めはじめていた。会社の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いいかもんのかみ》が慕わしい。天下の政治を人気商売として優倡《ゆうしょう》の徒に
委するに似たり、と勤王系の志士が冷罵したのを兵馬は覚えている。 それは天下国家....
「図書館に生きる道」より 著者:中井正一
、その中に、溶け入り、ともに秩序に諧和し、それと一つになり、力がぬけ、それに打ち
委す心持ちのことである。 この宇宙に対決するものにとって、一つの、そして、唯一....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
計守、二人ながら立派な名奉行であったが、鼓賊にだけは手が出せなかった。跳梁跋扈に
委すばかりであった。 この評判を耳にして一人|雀躍して喜んだのは、「玻璃窓」の....
「米国巡回文庫起源及び発達」より 著者:佐野友三郎
寒村僻邑をして、善良なる図書に接し易からしむ。 二、図書の選択管理を専問家の手に
委するが故に安全なり。 三、家屋借料、給料、燃料、燈火に関する経費を要せざるが故....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
孝の双全を得るに輸す 浜路 一陣の※風送春を断す 名花空しく路傍の塵に
委す 雲鬟影を吹いて緑地に粘す 血雨声無く紅巾に沁む 命薄く刀下の鬼となるを甘ん....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
ぜられ、出羽より胆沢に移って安倍氏旧領の六郡を伝領し、相変らずその地を俘囚の手に
委するのやむを得なかったのであった。否、清原氏はその勢力を奥羽二州に及ぼして、安....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
人民の知識また進歩するは必然なり。もし、これに反して人民の教導をひとりヤソ教者に
委するも、世間の神仏二教を信ずるもの、決して一朝一夕に改宗転派するものにあらず。....
「挿話」より 著者:徳田秋声
ば、たぶん癒るであろうが、青木の親たちは、手術は惨いから忍びないと言って、成行に
委すことにしたのであった。 姉の口ぶりがひどく感傷的になってきたので、道太は妙....
「お母さんは僕達の太陽」より 著者:小川未明
それがまた日本女性としての誇りでもあり、真のつとめでもあります。他人の手に子供を
委すべく余儀なくされても、母たるの自覚を失ってはならぬ。姿が見えると否とにかゝわ....
「ラスキンの言葉」より 著者:小川未明
もあるのである。 ラスキンは言ったのである。死者は、よろしく、愁草や青白い花に
委すべきである。若し、その人を忘れずに、記念せんとならばその人が、生前に為しつゝ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ら遠ざかっている点もあります。そして欲望は募り募って、今では、その惰性に成行きを
委すのみとなっている傾向が覗えます。東京で三代続いた家には肺病があるとさえ言われ....
「牛捨場馬捨場」より 著者:喜田貞吉
馬の皮革を利用することなく、またその肉を食用に供することなしに、いたずらに腐敗に
委することは実際社会的にも不利益な次第である。ここにおいてか社会の落伍者たるいわ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
中隊長に回収せるは苦労性なる日本人の特性を表わす一例なり。もし散兵戦闘を小隊長に
委すべからずとせば、その民族は既にこの戦法時代に於ける落伍者と言わざるべからず。....