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威圧
「威圧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
威圧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
は逡巡《しゅんじゅん》した。少くとも一瞬間は、凄壮そのもののような彼の姿に一種の
威圧を感じたらしかった。が、これもすぐにまた絶望的な勇気を振い起して、
「よし。....
「夢」より 著者:芥川竜之介
わたしたちの心もちは少しも互に打ち解けなかった。いや、むしろわたし自身には彼女の
威圧を受けている感じの次第に強まるばかりだった。彼女は休憩《きゅうけい》時間にも....
「或る女」より 著者:有島武郎
見た。しかし木村の感情はひどくほつれて、容易に解ける様子はなかった。葉子を故意に
威圧しようとたくらむわざとな改まりかたも見えた。葉子はいたずら者らしく腹の中でく....
「富士」より 著者:岡本かの子
すわね」 その言葉につれて良人の岳神も 「どういうものか、あの人の前へ出ると、
威圧される気がするところから、つい心にもない肩肘の張り方をしてしまう。どうも姉弟....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
期待されることはたいてい想像ができるであろう。自然科学的の内容はなくていたずらに
威圧的の言辞を重ねるのが一般の風潮であった。詭弁学者らはすべてのもの、各々のもの....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
》えていよ」 「ははッ」 治明博士は、アクチニオ四十五世の神秘《しんぴ》な声に
威圧《いあつ》せられて、はッと、それにひれ伏《ふ》した。 聖者は、不可解なこと....
「火星兵団」より 著者:海野十三
か知らないでか、絵にかいたようにしずかに、低い空にかかっているのであった。無言の
威圧だ。
「あれが、モロー彗星ですか」
「そうですよ。今にあれがどんどん大きくな....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ように、振向いて運転手が、 「どちらですか。」 「ええ処で降りるんじゃ。」 と
威圧するごとくに答えながら、双手を挙げて子供等を制した。栗鼠ばかりでない。あと三....
「些細な事件」より 著者:井上紅梅
仰向いてようやく見えるくらいであった。しかもそれはわたしに対して次第々々に一種の
威圧になりかわり、果ては毛皮の著物の内側に隠された「小さなもの」を搾り出そうとさ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
紙悪墨の中に燦めく奔放無礙の稀有の健腕が金屏風や錦襴表装のピカピカ光った画を睥睨
威圧するは、丁度|墨染の麻の衣の禅匠が役者のような緋の衣の坊さんを大喝して三十棒....
「西航日録」より 著者:井上円了
釈居。 (山の形はけわしくそびえたつこときわめて高く、砲台は高みに築かれて大地を
威圧している。金城鉄壁のようすは何ともくらべようもない。おそらくはインド神話の帝....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
で電気にでもかけられたように足がすくみ、身動きも出来なくなり、弟様の勢にすっかり
威圧されておしまいになりました、昔の人のいう魔がさしたとでも申すのでしょうか。お....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
夫人を棒に振らなければならない。まゆみは途方に暮れてもじもじしていると、百合子は
威圧するような鋭い眼と烈しい語調で迫るのだった。 「いやならいやとはっきり云いな....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
の行き来の中へ私は夢心地ではいっていった。私は都会のあらゆる構成分子からの無言の
威圧をはねかえすように胸を張った。だがまるきり金はない。知っている人もいない。私....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
い鉄の櫓だの、何階建かのコンクリートの壁だの、殊に砂利を運ぶ人夫だのは確かに僕を
威圧するものだった。同時にまた工業地になった「本所の玄関」という感じを打ち込まな....