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婆娑
「婆娑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婆娑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
点々とした白い上には、秋の日に照らされた破《や》れ芭蕉《ばしょう》の大きな影が、
婆娑《ばさ》として斜めに映っている。それだけにこの客のぞろりとした服装が、いっそ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、天井も柱も煤の色をした、見すぼらしい八畳でしたが、正面に浅い六尺の床があって、
婆娑羅大神《ばさらだいじん》と書いた軸の前へ、御鏡が一つ、御酒徳利が一対、それか....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
ろあるもその間全く懸隔しいるに喩《たと》えある。玄奘《げんじょう》が訳した『大毘
婆娑論』巻百三に菩薩菩提樹下に修道する所に魔王攻め来る、菩薩念ずらく魔軍鳥形を作....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
なふぶき》、一年を重ねて二十に至って愛の神は今が盛《さかり》である。緑濃き黒髪を
婆娑《ばさ》とさばいて春風《はるかぜ》に織る羅《うすもの》を、蜘蛛《くも》の囲《....
「草枕」より 著者:夏目漱石
若い女が何にも云わずににやにやと笑って、出て行った。 その晩は例の竹が、枕元で
婆娑《ばさ》ついて、寝られない。障子《しょうじ》をあけたら、庭は一面の草原で、夏....
「野分」より 著者:夏目漱石
がるのは薄く流した脂《やに》の色である。脂は夜ごとを寒く明けて、濃く変って行く。
婆娑たる命は旦夕《たんせき》に逼《せま》る。 風が吹く。どこから来るか知らぬ風....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
のぼ》る。涼風一陣吹到る毎《ごと》に、ませ籬《がき》によろぼい懸る夕顔の影法師が
婆娑《ばさ》として舞い出し、さてわ百合《ゆり》の葉末にすがる露の珠《たま》が、忽....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
あったためか、私は眠くなった。風は峡間にどこからともなく漲って来て、樹々の葉は、
婆娑婆娑と衣摺れのような音を立てる。峡谷の水分を含んだ冷たい吐息が、頬や腮にかか....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
いる。チョット申しておくが、世間ではヨク監獄内の通用語としてこの世の中のことを娑
婆娑婆という。けれども、実際、今ではソンナ言葉は用いられておらぬ。みな「社会」と....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
展覧会の雪の山を描いたポスターが白い窓のように几帳面な間隔を置いて貼られてある。
婆娑とした街路樹がかすかな露気を額にさしかけ、その下をランデ・ヴウの男女が燕のよ....
「連城」より 著者:田中貢太郎
択ぼうとしていた。喬もそれに応じて詩をつくって出した。 その詩は、 慵鬟高髻緑
婆娑 早く蘭窓に向って碧荷を繍す 刺して鴛鴦に到って魂断たんと欲す 暗に針綫を停....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
に使用せられる。 この樹は小木で直立し、枝は非常に多くて四方に拡がり常緑の繁葉
婆娑として蔭をなしすこぶる美観を呈している。葉は短柄を有して枝に互生し、偶数羽状....
「山吹」より 著者:泉鏡花
に張りつく。振向きて眼を※りながら)傘を引破いて、骨と柄になせえまし。それでは、
婆娑々々するばかりで、ちっとも肉へ応えねえだ。 夫人 (ため息とともに)ああ。 ....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
《おうさか》なぞのほとりに佇《たたず》んで御濠《おほり》の土手のつづく限り老松の
婆娑《ばさ》たる影静なる水に映ずるさまを眺めなば、誰しも東京中にかくの如き絶景あ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
出来るのは実に幸福であると我を忘れて徹夜致しましたが、菩提樹には月が宿りその影が
婆娑として金剛坐の上に映って居る景色は実に美しゅうございました。その時に
菩提....