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婚約
「婚約〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婚約の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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膝の上に組んだ看護婦の両手。前になった左の手には
婚約の指環が一つはまっている。が、指環はおのずから急に下へ落ちてしまう。
....
「或る女」より 著者:有島武郎
がけ》のきわに立っていた。そこでただ一つ葉子を崕の上につないでいる綱には木村との
婚約という事があるだけだ。そこに踏みとどまればよし、さもなければ、世の中との縁は....
「或る女」より 著者:有島武郎
に上陸せしめずひそかに連れ帰りたる怪事実あり。しかも某女といえるは米国に先行せる
婚約の夫《おっと》まである身分のものなり。船客に対して最も重き責任を担《にな》う....
「星座」より 著者:有島武郎
てくれた時、この章に書いてあるのは、アイルランドのある若い勇ましい愛国者と、その
婚約の娘との間に起った実際の出来事だといったので、おぬいにはよけい興味のあるもの....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ち出した。その時からクララは凡ての縁談を顧みなくなった。フォルテブラッチョ家との
婚約を父が承諾した時でも、クララは一応辞退しただけで、跡は成行きにまかせていた。....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
た。そのために、当時、鮎川紅子と名乗っていた彼女は、愛の殿堂にまつりあげておいた
婚約者の竹花中尉を、永遠に喪ってしまったのだった。 いわば、今宵の良人射殺事件....
「蠅男」より 著者:海野十三
らいったな。それァ何のこっちゃ」 「フィアンセ――これはフランス語ですが、つまり
婚約者です」 「
婚約者やいうのんか。なんや、つまり情夫のことやな」 「まあ、失礼....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
覚違いでござります。彼等|夥間に結納と申すは、親々が縁を結び、媒妁人の手をもち、
婚約の祝儀、目録を贈りますでござります。しかるにこの度は、先方の父親が、若様の御....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
笑いを報いて、だまってそこらを見まわした。 慧眼な祖母は、去年の夏気に入らない
婚約をされて以来ことさらにはげしくなった登志子のわがままが心配でたまらなかった。....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
こらずのお寺の鐘が、かんかん鳴りわたりました。先ぶれは町じゅう馬をはしらせて、ご
婚約のことを知らせました。あるかぎりの祭壇には香油が、もったないような銀のランプ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
の贖いをして来ました。こうして老嬢をとおしております。いいえ、老嬢と云うよりも、
婚約をしたッきりの寡婦、あの少年の寡婦として通して来たと申したほうが好いのでしょ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
年は有頂天になってしまって、次の日、Sのところへ報告に立ち寄った。 「S君、俺は
婚約したぞ、男爵閣下の令妹とよ。」 Sはその時、自分の従兄にあたる農会長が、男....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
がられず、理想の細君の選択に女学校の教師となるものもあった。或る女学校では女生の
婚約の夫が定まると、女生は未来の良人を朋友の集まりに紹介するを例とし、それから後....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
。これ、大いに日本とその風習を異にするところなり。 西洋には、男女結婚の前に結
婚約束をなすことあり。これを
婚約という。この約を証するため、指環を男より女に与う....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
雄様が怖くって、御木井のお邸へお嫁様には入らっしゃらなかったでございましょう。御
婚約がお出来になってからだって、武雄様は幾度も隙を狙ってはくどいていらっしゃるん....