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婢
「婢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
こもかしこも、うそのような変わり方である。自分が、まだ台盤所《だいばんどころ》の
婢女《みずし》をしていたころの事を思えば、――いや、思いがけない身分ちがいの男に....
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子の叔母は葉子から二三|間《げん》離れた所に、蜘蛛《くも》のような白痴の子を小
婢《こおんな》に背負わして、自分は葉子から預かった手鞄《てかばん》と袱紗《ふくさ....
「或る女」より 著者:有島武郎
けではないんだ」
「まあ気の小さい」
葉子はなおも動《どう》じなかった。そこに
婢《おんな》がはいって来たので話の腰が折られた。二人《ふたり》はしばらく黙ってい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
開けて、つんつるてんな着物を着た、二百八十間の橋向う、鞠子辺の産らしい、十六七の
婢どんが、 「ふァい、奥様。」と訛って云う。 聞いただけで、怜悧な菅子は、もう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
這入ったこの芸術は永くその伝統から遁れ出ることが出来ないで、その色その面を形の奴
婢にのみ充てていた。色は物象の面と空間とを埋めるために、面は物象の量と積とを表わ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
らあとから涙が湧き流れた。眼に触れるものは何から何までなつかしまれた。 一人の
婢女を連れてクララは家を出た。コルソの通りには織るように人が群れていた。春の日は....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の本性が再びその眠りから覚めるまで続いた。この時に至って印刷術というものが学問の
婢僕として働くようになり、また実験的の仕事を軽侮するような有識者の考え方も跡を絶....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
時、磯に倒れて悲しもうが、新しい白壁、艶ある甍を、山際の月に照らさして、夥多の奴
婢に取巻かせて、近頃呼入れた、若い妾に介抱されていたではないのか。なぜ、それが情....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
役に立たず、極りが悪うございまして、お銚子を持ちますにも手が震えてなりません。下
婢をお傍へお置き遊ばしたとお思いなさいまして、お休みになりますまでお使いなすって....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
「へーい。」 途端に、がらがらと鼠が騒いだ。……天井裏で声がして、十五六の当の
婢は、どこから顕れたか、煤を繋いで、その天井から振下げたように、二階の廊下を、お....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
髷。眦が下って、脂ぎった頬へ、こう……いつでもばらばらとおくれ毛を下げていた。下
婢から成上ったとも言うし、妾を直したのだとも云う。実の御新造は、人づきあいはもと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
から、黄色に焦げた香を放って、手を懐中に暖めたとあっては、蕎麦屋の、もり二杯の小
婢の、ぼろ前垂の下に手首を突込むのと軌を一にする、と云って斥けた。良策の用いられ....
「狂女」より 著者:秋田滋
、誰も彼女をその蒲団のなかから引ッぱり出すようなことはしなかった。 年老いた下
婢がひとり彼女のそばに附いていて、その女が時折り飲物をのませたり、小さな冷肉の片....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
がたある宿に着きたり。宿に着きても油断せず、合客の様子、家居の間取等に心づけ、下
婢が「風呂に召されよ」と言いしも「風邪の心地なれば」とて辞し、夜食早くしたためて....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
云う事について、こう云う事がある、丁度秋の中旬だった、当時田舎屋を借りて、家内と
婢女と三人で居たが、家主はつい裏の農夫であった。或晩私は背戸の据風呂から上って、....