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婦徳
「婦徳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婦徳の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
たと言って見たところで、それが彼には何の弁解《いいわけ》にも成らなかった。自分は
婦徳を重んじ正義を愛するの念に於《おい》て過ぐる年月の間あえて人には劣らなかった....
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
かと云うことになって、知仁勇とか、仁義礼知信とか、忠孝とか、忠君愛国とか、三従の
婦徳とか、という徳目(Virtues)が念入りに算え上げられる。で今やこの徳目を....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
」真実の機会を封鎖してしまっていたことがわかる。浪子は一向分析していない旧来の「
婦徳」というものを損わざらんことをものわかりよい婦人の義務とわきまえ、或る程度ま....
「今日の文化の諸問題」より 著者:宮本百合子
、近頃一層いちじるしくなって来ている。婦人の幸福は家庭にあり、家庭において婦人が
婦徳を全うすることこそ日本文化の世界に誇るべき輝きであると論じ、婦人参政権運動の....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
、無智、隷属、卑屈、因循をもって法《のり》とし、その条件にすこしでも抵触すれば、
婦徳を紛紜《うんぬん》する。しかし、人は生きている。女性にも激しい血は流れている....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
持よい点滴のように書きたくなって来るのです。どこで暮すにしろ、天気晴朗の朝、俄然
婦徳を発揮するまで、わたしは土いじりと勉強とで過したいと思います。よく 四月十....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
い。これまで見たこともないほど美しい娘だ。やがては菫《すみれ》のように香んばしい
婦徳も出て来るだろう。まったく優美の至りだ。こんな婦人といっしょにおれば、だれで....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
とっては、腹をいためた子以上に義理ある子を愛するということは、まさに驚異に値する
婦徳の一つであった。 「お延さんは、さすがに正木の娘さんだ。」 そうした賞讃の....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
め職をくび切られ、この一家もまた庄原の町から立ち退かねばならなくなってしまった。
婦徳のかぎりを尽したあの母夫人がどうして不幸に沈まなくてはならないのだろう。芳正....
「日本男子論」より 著者:福沢諭吉
のなり。もしも年来日本男子をしてその醜行を恣《ほしいまま》にせしめて、一方に良家
婦徳の凜然《りんぜん》たるものなからしめなば、我が社会はほとんど暗黒世界たるべき....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
走り出た久子が、爺の恩智左近へ叫んでいた。 ただ、つつましく蔭にいるのが、妻の
婦徳といわれているが、今はそんな妻の座など、顧慮していられない久子に見えた。 「....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ことを考えると、彼らの手で分配するのが正式であったことはうなずかれる。ただ近世の
婦徳が大いに進歩して、多くの貞淑なる人々がこれを憎み避くるに及び、始めて如何なる....