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婪
「婪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
にも係わらず、崇高と見えるまでに極端な潔癖屋だった彼であったのに、思いもかけぬ貪
婪《どんらん》な陋劣《ろうれつ》な情欲の持ち主で、しかもその欲求を貧弱な体質で表....
「或る女」より 著者:有島武郎
は何もかも滅びて行くのに、永遠な灰色の沈黙の中にくずれ込んでしまうのに、目前の貪
婪《どんらん》に心火の限りを燃やして、餓鬼《がき》同様に命をかみ合うとはなんとい....
「女の決闘」より 著者:太宰治
慾も興覚めた、という解釈も成立し得ると思います。まことに芸術家の、表現に対する貪
婪《どんらん》、虚栄、喝采への渇望は、始末に困って、あわれなものであります。今、....
「桜の樹の下には」より 著者:梶井基次郎
《たま》らなく臭い。それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。桜の根は貪
婪《どんらん》な蛸《たこ》のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のよう....
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
れは女のお化けです。顔はあたり前ですが、後頭部に――その部分がお化けなのです。貪
婪《どんらん》な口を持っています。そして解《ほぐ》した髪の毛の先が触手の恰好に化....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
げつづけている汐巻灯台の意味ありげな姿が、どんなにものずきなわたし達の心の底に貪
婪なあこがれをかき立てていたことか。だから、当直に叩き起された所長の東屋氏とわた....
「蜘蛛」より 著者:甲賀三郎
もなど、あらゆる種類の蜘蛛が、一月ほど餌をあたえられないために、極度に痩せて、貪
婪な眼をギョロギョロと光らせていた。そのうえに函の始末が悪かったためか、のがれで....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
東京の中学校を落第して仕方なしに浦和へきた怠惰生からの感染であった。孔子は一人貪
婪なれば一国乱をなすといった、ひとりの不良があると、全級がくさりはじめる。 カ....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
水の中にも、何処か肉の臭いのする、しつこい所が潜んでいる。其処に芸術家としての貪
婪が、あらゆるものから養分を吸収しようとする欲望が、露骨に感ぜられるのは愉快であ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
ったので、何か他の判るような答えを訊こうとした。 「人心、古のようでなく、康囘貪
婪飽くなく、天位を窺うたがために、私共の后は自ら天罰を加えるために、郊に戦われた....
「博物誌」より 著者:岸田国士
ければ、いい気持だ。 ところが、今日は実際のところ、虻が食うこと、食うこと。貪
婪に、無数に群がりながら、黒いやつは煤の板のように塊って、眼や鼻の孔や脣のまわり....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
超えてもっとたくさん取りたい、引っつかみたいといった片意地な欲望が、そういった貪
婪きわまる表情が、さっと閃めく二、三の女。これはもう若盛りを過ぎた、むら気で無分....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
は現われていたのである。好奇の心を養うためには犠牲を要する。その犠牲に手を伸す貪
婪さを彼ぐらい露骨に示したものも少かろう。鶴見が銭湯に誘われたのを犠牲と呼ぶには....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
犠牲というべきであろうか? それとも、その反対に、蜘蛛を使い、生物の命を取る、貪
婪、残忍の、吸血鬼というべきであろうか? と、紙帳に映っていた武士の姿が崩れた。....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
さい」というのを実に純潔な表現と思いました。私は私の眸を涼しく保ちたい。憤怒や貪
婪や、淫欲に濁らせたくありません。そしてそのためには祈りの心持ちを失いたくありま....