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婿養子
「婿養子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
婿養子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
のか。前者ならば別に仔細もないが、後者ならば容易ならぬ事である。幸之助は黒沼家の
婿養子となって、いまだ祝言《しゅうげん》の式さえ挙げないが、お勝という定まった妻....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
直した。 とよ女の孝節が、藩主の上聞に達して、召し還された上、藩の家老の次子を
婿養子として、幸田の跡目を立てられて、旧知の倍の百石を下しおかれたのは、同じ宝暦五年の九月のことである。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
けでは、決心をいたしまして、世間には、随分一人前の腕を持っていながら、財産を当に
婿養子になりましたり、汝が勝手に嫁にすると申して、人の娘の体格検査を望みましたり....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
年もようやく暮れて、十二月半ばごろに突如として省作の縁談が起こった。隣村|某家へ
婿養子になることにほぼ定まったのである。省作はおはまの手引きによって、一日おとよ....
「わが町」より 著者:織田作之助
てるのとちがうやろか、そう思って、矢張り蝶子は気が気でなかった。 案の定、妹が
婿養子を迎える婚礼に出席を撥ねつけられたといって、柳吉は気を腐らせ、貯金の中から....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
事に奔走している中で、父は病み、実の兄弟はなし、ただ一人お喜佐のような異腹の妹に
婿養子の祝次郎はあっても、この人は新宅の方にいて彼とはあまり話も合わなかった。 ....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
も事件の真相がわりあい手取早く判明して来るのである。なんのことはない、自分は店の
婿養子の引立て役の古顔の番頭みたいなものである、と大寺警部はいつも心の中でひそか....
「累物語」より 著者:田中貢太郎
の人の手を借りて旦那寺の法蔵寺の墓地に埋葬した。与右衛門は元貧しい百姓の伜で累の
婿養子になったものであったが、累が醜いうえにやかましいので、それを亡くして他から....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
いこんでいるのである。 なお、この家には、伯母夫婦――伯母はお民の姉で、それに
婿養子がしてあった――に、子供六人、それに十人内外の雇人が、いつもいた。人数が多....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
子供たちにでも不敬な振舞いがあれば父は厳しく叱責した。 又ある時長女の豊子姉の
婿養子と、姉妹たち(従兄弟たち)が皆集まって、正月の歌かるたをして遊んでいたこと....
「妖婦」より 著者:織田作之助
道楽者で、長女のおとくは埼玉へ嫁いだから、両親は職人の善作というのを次女の千代の
婿養子にして、暖簾を譲る肚を決め、祝言を済ませたところ、千代に男があったことを善....
「食堂」より 著者:島崎藤村
京橋の目貫な町中に小竹の店を打ち建てた人で、お三輪はその家附きの娘、彼女の旦那は
婿養子にあたっていた。この二人の間に生れた一人|子息が今の新七だ。お三輪が小竹の....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
主人である。内儀は家つきの一人娘で、その十四の時、年の三十ばかり違うのに添った、
婿養子で、当時は店の御支配人だったそうである。 「変った、変った。」 と、八郎....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
めから長袖を志望して、ドウいうわけだか神主になる意でいたのが兄貴の世話で淡島屋の
婿養子となったのだ。であるから、金が自由になると忽ちお掛屋(今の銀行業のようなも....
「娘」より 著者:岡本かの子
鼈甲の最高級品だけを扱う道を執ろうと決めている。娘の室子のことについては、今更|
婿養子をとっても、家業が家業なり、室子の性質なりで、うまくは行くまいとの明だけは....