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「媚びる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

媚びるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
間同士の親しみを交える妨害をした。それは彼等の好意を得ることにも何か彼等の権力に媚びる卑しさの潜んでいる為だった。さもなければ彼等の同性愛に媚びる醜さの潜んでい....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ふけったように高く笑った。 藤むらさきの袖の蔭から白い顔はまた現われた。彼女は媚びるように低くささやいた。 「頼もしいと見らるるも、頼もしからぬと見らるるも、....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
り些か大人気ないことではなかろうか。豹一はただ慇懃な態度が欠けていたのだ。他人に媚びることをいさぎよしとしない精神が、彼を人一倍、不遜に見せただけのことである。....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
した。 同行四 まだまだ任せ切っていないのでした。 同行五 心の内の甘えるもの、媚びるものがくずれて行くような気がします。 同行六 (涙ぐむ)思えばたのもしい仏....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
杜はホッと溜息をついた。 お千も同じように、ホッと吐息をついた。そして彼の方に媚びるような視線を送って、 「――あいつは悪い奴なのよ。あたしの本当の亭主じゃな....
貞操問答」より 著者:菊池寛
っては不思議な魅力を持った快楽である。 このような状態では、激しい恋慕もなく、媚びる気持もなしに、こうした生活を与えてくれた前川の愛撫を待つことになるであろう....
俊寛」より 著者:倉田百三
ど浜辺に立ってたまさかに遠くの沖をかすめて通る船の影を見ると、わしには再び希望が媚びるように浮かんでくるのです。わしをからかうように、じらすように、幸福をのせて....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
中には自由はある。法悦さえ感ずることがある。そんな予感が文芸に絆された少年の心に媚びる。未知の境界がこの少年を招き寄せる。迎えるものがあって迎えられるように思う....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ら、狭い階子段、で行詰ってどちらへも片附かずに、揉む。 しなだれるんじゃない、媚びるんじゃない、甘えるの。派手なんじゃない、騒々しいので、恋も情もまだ知らない....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
心のなかの虚栄心がどれほど焚き殺されたか知れません。私は運命に甘える心、おのれに媚びるすべての思想感情をば神前に釘づけるために日々祈っております。 もはや女は....
」より 著者:カフカフランツ
で、このたいしたなまけぶりについてちょっとした冗談でもあるかのように話し、まるで媚びるように、一人の助手の頬を軽くたたくようなことまでするのだった。Kは近いうち....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
であった。はじめから風流の韻事である。花鳥の雅遊である。感性の愉しさに手ばなしで媚びるのである。俊成の感性が『古今集』の声調に親近を直覚したのは、彼が身を以て詩....
童話を書く時の心」より 著者:小川未明
き、誠実に生きるということを忘れて、功利的に考え易いからです。徒らに、特権階級に媚びる文学は、小説といわず、少年少女の教育に役立つ読物といわず、またこの弊に陥っ....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
るとか言ったのはそれをきくためだったのだ、そう言えば、昨日彼がぼくに親切にしたり媚びる様な態度を見せたりしたのもこのことの予備行動ではなかろうか、そうぼくは思っ....
耳香水」より 著者:大倉燁子
海と通信を交して居りました。可愛らしい(以下四十六字伏字)ちょっと唇を押し当てて媚びるような微笑を遠くの方から送ります。上海は京都よりもずっと若く、いかにも富豪....