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嫁入り前
「嫁入り前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嫁入り前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、女は肩を少しそらせて笑った。 「ほほ、御冗談でしょう。可哀そうにこれでもまだお
嫁入り前でさあね。御代参をたのまれたのは、町内の古着屋のおっかさんに……。と云い....
「食魔」より 著者:岡本かの子
となって学校を退かされてもこれが却って身過ぎの便りとなり、下町の娘たちを引受けて
嫁入り前の躾をする私塾を開いていた。伯母も身うちには薄倖の女で、良人には早く死に....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かりの年ごろに達している。彼女は、母よりも父を多くうけついだ方で、その風俗なぞも
嫁入り前の若さとしてはひどく地味づくりであるが、襟のところには娘らしい紅梅の色を....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
学生も、男達が実際そういうタイプの女を好きで夫が殿方の要求に適しているとすれば、
嫁入り前の娘をかかえた親達は、もう何も云うことはなくなる筈である。キネマやレヴュ....
「父」より 著者:金子ふみ子
具までもその中に包みこんだ。 母は弟をおぶって私と一緒に叔母を見送った。 「お
嫁入り前のあんたを裸にして帰すなんてほんとにすまない、だけど、これも運がわるいん....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て置いて、事実、女もああなると凄《すご》いね」 「まだ若いな」 「若いにも、まだ
嫁入り前なんだ、しかも、たまらぬ由緒のある女なんだ、あれを今晩、この座敷で拝もう....
「眉の記」より 著者:上村松園
伴わないものの多いのは残念である。 せっかく親から享けたあたら眉毛を剃り落し、
嫁入り前の若い身で一たん青眉にし、その上へすすきの葉のようにほそい放物線を描いた....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
の、権と。……風呂で……」 「ヒエーッ、それじゃア手前、体を、権に! ヒエーッ、
嫁入り前の体を!」 「何云ってるのよ。権、いい人だわ、恥ずかしがり屋だわ。悪人じ....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
と言って、幾村里かけて巡拝して歩くことを春の行事とした、北九州の為来りも、やはり
嫁入り前の娘のすることであった。鳥居を幾つ綴って来るとか言って、菜の花桃の花のち....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
汽車を待つ間の椅子にも項垂れて深き想いに沈んでいる。千代子の苦悩は年ごろの処女が
嫁入り前に悲しむという、その深き憂愁であろうか。 群を離れた河千鳥が汀に近く降....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
に感じたことは道理なこと。これはまず何より媒酌人の東雲さんに話すが好かろう。この
嫁入り前より何か他に思い込んだ婦人でもあるのではないか。もしそういう事なら今の内....
「盗難」より 著者:佐藤垢石
が一致したのである。故郷において、私の妹が老父と共に育ててもいいのだが、妹はまだ
嫁入り前であったから、それは妹にとっては可哀相な訳合いであったのだ。 老父は、....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
京都の第三高等学校に入学することになった。京都遊学が近づいて来るに従ってさすがに
嫁入り前の娘のような慌だしい心持がせぬでもなかった。自然その頃は子規居士との手紙....
「五色蟹」より 著者:岡本綺堂
には祟りがあると言い伝えられて、いたずらの子供ですらも捕えるのを恐れていた。殊に
嫁入り前の若い女がこの蟹を見ると、一生縁遠いか、あるいはその恋に破れるか、必ず何....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
。 彼女はこの男が金持だと言うからこそ嫁に来たのであった。ところが彼女の懐中は
嫁入り前よりも乏しいのであった。前にはあの貧乏な父親でさえ二十コペイカ銀貨はくれ....