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嫋
「嫋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嫋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
ょっと見咎められたのであった。さすがに、これには彼もぎょっとしたが、いかにも柔い
嫋々しい彼の体は、充分に心の乱れた女房の眼を欺瞞することに成功した。 そして、....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
か夜風が出て、弔花のような風雪が舞いしきり、折から鳴りやんでいた教会の鐘が、再び
嫋々と、慄える私の心を水のようにしめつけていった。 (「新青年」昭和十一年十二月号)....
「古狢」より 著者:泉鏡花
また、おいで遊ばして」と枝折戸でいう一種綿々たる余韻の松風に伝う挨拶は、不思議に
嫋々として、客は青柳に引戻さるる思がする。なお一段と余情のあるのは、日が暮れると....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
も水を汲む音が、馴れた女中衆でありそうに思われました。 ト台所の方を、どうやら
嫋娜とした、脊の高い御婦人が、黄昏に忙しい裾捌きで通られたような、ものの気勢もご....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
冷たそうに、水紅色の羽二重の、無地の長襦袢の肩が辷って、寒げに脊筋の抜けるまで、
嫋やかに、打悄れた、残んの嫁菜花の薄紫、浅葱のように目に淡い、藤色|縮緬の二枚着....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
のも、よく釣合って、抜けるほど色が白い、ちと大柄ではありますが、いかにも体つきの
嫋娜な婦で、 (今晩は。) と、通掛りに、めし屋へ声を掛けて行きました。が、※....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ろ。 「私が持ちましょう、磴に打撞りますわ。」 一肩上に立った、その肩も裳も、
嫋な三十ばかりの女房が、白い手を差向けた。 お米といって、これはそのおじさん、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
何とも云えないほど口許の優い、目の清い、眉の美しい、十八九の振袖が、裾を曳いて、
嫋娜と中腰に立って、左の手を膝の処へ置いて、右の手で、筆を持った小児の手を持添え....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
た裳が、橋の向うで納まると、直ぐに此方へ向替えて、 「手を引いて上げましょう。」
嫋娜に出されたので、ついその、伸せば達く、手を取られる。その手が消えたそうに我を....
「発明小僧」より 著者:海野十三
のはコロコロと、太い管の中を転落して、タンクの中に入るから牛馬先生は、遥かに余韻
嫋々たる風韻を耳にするであろう。 ハンドルが間に合わぬことを心配する人があるか....
「多神教」より 著者:泉鏡花
お沢を抱すくめて床几に載す。黒髪高く乱れつつ、一本の杉の梢に火を捌き、艶媚にして
嫋娜なる一個の鬼女、すっくと立つ―― お沢 ええ! 口惜しい。(殆ど痙攣的に丁と....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
献じて亡父の志を果す一条の如き、大塚匠作父子の孤忠および芳流閣の終曲として余情|
嫋々たる限りなき詩趣がある。また例えば金光寺門前の狐竜の化石(第九輯巻五十一)延....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
――いまはあるか、どうか知らぬ、二軒茶屋で豆府を切る姉さんぐらいにしか聞えない。
嫋音、嬌声、真ならず。境辻三……巡礼が途に惑ったような名の男の口から、直接に聞い....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
らすらと掛ったような姿であった。――あとでも思ったが、その繕わない無雑作な起居の
嫋々さもそうだが、歩行く時の腰の柔かに、こうまでなよなよと且つすんなりするのを、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
く莟さえある……その竜胆を、島田髷のその振袖、繻珍の帯を矢の字にしたのが、弱腰を
嫋やかに、白い指をそらして折って取った。 ……狩を先んじられた気がちょっとした....