嫌気[語句情報] »
嫌気
「嫌気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嫌気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
いただけの事なんだ。が、その時僕はあの女の腹の底まで見えたような気がして、一度に
嫌気《いやき》がさしてしまったじゃないか。するとあいつは嫉妬を焼いたと云う、その....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
た。三階の講堂へ詰めこまれると、豹一はわざと出口に近いいちばん後列の席に坐った。
嫌気がさした時、試験の最中にすぐ飛び出せるための用意で、なかなか手廻しが良かった....
「世相」より 著者:織田作之助
ない所でカツラを取って何時間も掛って埃を払っている――そんな姿を見ると、つくづく
嫌気がさして来たある夜、どう魔がさしたのかポン引に誘われて一夜女を買った。ところ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ぶせ、はしご段の方に耳をそば立てた時の様子を見て、もろい奴、見ず転の骨頂だという
嫌気がしたが、しかし自分の自由になるものは、――犬猫を飼ってもそうだろうが――そ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
たですか」 「一向にききません」 大江山警部は、さっぱり当りのない愚問に、自ら
嫌気がさして、鳥渡押し黙った。 「省線電車の殺人犯人は、まだ見当がつかないのです....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
わたくしは、わたくしの気の弱い弱味に付け込まれて、何か小娘に罠を構えられたような
嫌気もしたが、行きがかりの情勢で次を訊かないではいられなかった。 「他に何か辛い....
「火薬船」より 著者:海野十三
飛びだして日本に帰らないということであります。われわれ一同、こせこせした日本人に
嫌気がさし、日本人を廃業して中国人になり切り、南シナ海からマレー、インドの方まで....
「雨」より 著者:織田作之助
だ、給仕、鉛筆削れと、はっきり給仕扱いでまるで目の廻わるほどこき扱われた。一日で
嫌気がさしてしまったが、近いうちに記者に昇格させてやると言われたのを当てにして、....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
明治十五年であった。 すぐに道修町の薬種問屋へ雇われたが、無気力な奉公づとめに
嫌気がさして、当時大阪で羽振りを利かしていた政商五代友厚の弘成館へ、書生に使うて....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
飯が落着かないくらいです。然し自転車というものを見ると実に何とも言えない此の世に
嫌気がさします。 冬中はまだいいのです。伯林の市中で雪掻き人夫を使います。これ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
の家に出入して教を乞うものでなかった。ただ文書を以て交際するだけなら折々小面倒で
嫌気を生ずる事があってもそれほど深く身に染みないが、面と向っては容易に親しまれな....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
いよいよ多くなった。私が緑雨と次第に疎遠になったのは緑雨の話柄が段々低級になって
嫌気がさしたからであるが、一つは皮肉の冴を失った愚痴を聞くのが気の毒で堪らなかっ....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
しているかの様な眼付をぼくに見せた。それを見るとぼくは益※良い気になり、自分でも
嫌気がさす位ペダンチックになるので、轡川は煙にまかれた形でみじめに見えた。 夕....
「俗臭」より 著者:織田作之助
た。その時の想いが直接の原因だった。もう一つには、同業の者を観察して、つく/″\
嫌気がさしていた。鯛焼饅頭屋は二十年、鯛焼を焼いている。一銭天婦羅屋は十五年、牛....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
い家を探すことになった。姉の方は女子供ばかりで心細がっているし、私の方は南京虫で
嫌気がさしているので、急にこういう相談が出来たのである。 或日或人が高輪車町の....