嬉しい[語句情報] »
嬉しい
「嬉しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嬉しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
たのが、――」
敏子は急に夫の顔へ、妙に熱のある眼を注いだ。
「なくなったのが
嬉しいんです。御気の毒だとは思うんですけれども、――それでも私は
嬉しいんです。嬉....
「春」より 著者:芥川竜之介
妹を睨《にら》めるほかはなかった。
「いやよ。何をするの?」
「だってほんとうに
嬉しいんですもの。」
辰子は円卓《えんたく》の上へのり出したまま、黄色い電燈の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、夢にも思召《おぼしめ》さなかったのでございますから、鴉の左大弁様は悲しいとも、
嬉しいともつかない御心もちで、しばらくはただ、茫然と御文を前にひろげたまま、溜息....
「影」より 著者:芥川竜之介
しんだい》、西洋※《せいようがや》、洗面台、――今はすべてが昼のような光の中に、
嬉しいほどはっきり浮き上っている。その上それが何一つ、彼女が陳と結婚した一年以前....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
蓮も、急に悲しい気がして来た。やっと金《きん》さんにも遇《あ》える時が来たのだ、
嬉しい。
嬉しい。――彼女はそう思いながら、それでも春着の膝の上へ、やはり涙を落し....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
のですか? よろしい。あなたの云う通りにします。
小町 きっとですね? まあ、
嬉しい。きっとならば、……(使を引き寄せる)
使 ああ、わたしこそ死んでしまい....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
。第一に現れたのは、彼の母親のうすよごれた裙子《くんし》である。子供の時の彼は、
嬉しい時でも、悲しい時でも、何度この裙子にすがったかわからない。が、これは思わず....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ぶた》の裏には、やはりさまざまな母の記憶が、乱雑に漂って来勝ちだった。その中には
嬉しい記憶もあれば、むしろ忌《いま》わしい記憶もあった。が、どの記憶も今となって....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
て笑い出した。それが素戔嗚尊《すさのおのみこと》には腹も立てば同時にまた何となく
嬉しいような心もちもした。彼は醜い顔をしかめながら、故《ことさら》に彼等を脅《お....
「少年」より 著者:芥川竜之介
はこう考えると、名状の出来ぬ懐《なつか》しさを感じた。同時に従来知らなかったある
嬉しい悲しさをも感じた。あの画《え》の幻燈の中にちらりと顔を出した少女は実際何か....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
》を追っていた女の児さえ、御時宜《おじぎ》をしたではありませんか? わたしは勿論
嬉しいと同時に、不思議にも思ったものですから、何か訳のある事かと、そっと御主人に....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
ら言いました。 「なれません。なれませんが、しかし私はなれなかったことも、反って
嬉しい気がするのです」 杜子春はまだ眼に涙を浮べたまま、思わず老人の手を握りま....
「鴨猟」より 著者:芥川竜之介
を見るが早いか、忽ち一斉に飛び立ってしまう。桂月先生はこの鴨の獲れないのが大いに
嬉しいと見えて、「えらい、このごろの鴨は字が読めるから、みんな禁猟区域へ入ってし....
「初雪」より 著者:秋田滋
しがっていた煖房を、とうとう据えつけてもらうことが出来たことを知って、しみじみと
嬉しい気がして、そのまま先を読むのを止めてしまった。そして、手紙を持っている右の....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
右衛門のお神さんが、この赤児を見ているうちに、今まで一度も感じたことのないような
嬉しい気持になって来ました。お神さんは、太郎右衛門に向って、 「この子はお寺の子....