嬌声[語句情報] » 嬌声

「嬌声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

嬌声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
と、戸惑ってまごまごしている仲居の女共を尻目にかけながら、珠数屋の一座が女と酒と嬌声に仇色《あだばな》を咲かしている奥広間の隣室へ構わず這入って行って、悠々と陣....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
oto と書きながら、驚いたのは、そのだぼはぜ嬢、「好《い》いのよ、好いのよ」と嬌声《きょうせい》を発し、「あなた、とても好いわ」とぼくの肩に手を置いた事です。....
世相」より 著者:織田作之助
った間口の狭い格子づくりのしもた家の前を通るたびに、よしんば酔漢のわめき声や女の嬌声や汚いゲロや立小便に悩まされても、一度はこんな家に住んでみたいと思うのであっ....
苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
飛躍した。どこかで豚の啼き声がした。 表には、ここの女たちが男を誘惑する淫らな嬌声が聞えていた。その嬌声に混って、胡弓の音がした。俺は何故ともなしにその弾き手....
深夜の市長」より 著者:海野十三
サーが哀調を帯びた異国語で何かしら悠くりと喋っている声だけが残っていた。 その嬌声を副食物にして、僕は押入から出してきた電気|麺麭焼器でこんがりと焦げた薄いト....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
喚いて一斉に彼に飛びついてゆくという騒ぎである。それがなんとも形容しがたいような嬌声を張りあげて、あっちからも、こっちからも金の胸にぶら下るのだ。まるで一つの麩....
天馬」より 著者:金史良
寄せて来るやるせない淋しさをどうすることも出来なかった。男達が右往左往し娼女達の嬌声が高らかに響き返っていた昨夜の娼家界隈とも思われない程、辺りは森閑《しんかん....
箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
へ下る九十九折のピンヘッド曲路では車体の傾く度に乗合の村嬢の一団からけたたましい嬌声が爆発した。気圧の急変で鼓膜を圧迫されるのをかまわないでいたら、熱海海岸で車....
無毛談」より 著者:坂口安吾
認めると、スイとでて行って郵便箱からとってきて、妹に渡す。 妹がタシナミのない嬌声をあげて、 「来ましたよ、来ましたよ、お待ちかねの物」 けれども、時には、....
岷山の隠士」より 著者:国枝史郎
ではないか、外をお廻り」 すると李白は声に応じて賦した。 「素面|欄鉤ニ倚リ、嬌声|外頭ニ出ヅ、若シ是織女ニ非ズンバ、何ゾ必シモ牽牛ヲ問ハン」 これに驚いた....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
いるように思われた。そして、あちこちから仰山らしい爆笑が上り、上流の人達が交わす嬌声の外は、何一つ聴こえなかったけれども、その渦の中で一人超然とし、絶えず嘆くよ....
地上」より 著者:島田清次郎
え、およしなさいよ、ほんとうにおよしなさいよ!」 と奥座敷で菊龍のあげる誇張した嬌声を、「菊ちゃん、あんまり声が大きすぎますよ」とお幸が戒しめる。人々はいつしか....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
まはあるか、どうか知らぬ、二軒茶屋で豆府を切る姉さんぐらいにしか聞えない。嫋音、嬌声、真ならず。境辻三……巡礼が途に惑ったような名の男の口から、直接に聞いた時で....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
とも曲り角で混凝土の側壁へ這い上がったのでしょう、やがて私にはわからぬ母国話で、嬌声を挙げながら、縺れ合って小径を上って来ました。 「ねえ、面白かったでしょう?....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
目に出会つたとき、秀治たちは露骨に娘たちをからかいはじめた。娘たちはキヤツ/\と嬌声を上げながら、暗闇の方に逃げ出したが、その癖遠くへは行かず、いよ/\秀治たち....