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嬌羞
「嬌羞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
嬌羞の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
張を敢てすれば、脂光《やにびか》りに光ったパイプにも、ほとんど女人《にょにん》の
嬌羞《きょうしゅう》に近い間《ま》の悪さの見えるのは不思議である。保吉は呆気《あ....
「星座」より 著者:有島武郎
どんなに無害なことでも心にもない口をきくことができなかったから。また処女に特有な
嬌羞《はにかみ》というものをあたりさわりなく軟らげ崩して、安気な心持で彼と向い合....
「門」より 著者:夏目漱石
帯の光も、それほど彼を驚かすまでには至らなかった。その上御米は若い女にありがちの
嬌羞《きょうしゅう》というものを、初対面の宗助に向って、あまり多く表わさなかった....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
退屈男の眼の配りの鋭さにうっかり手出しは禁物と警戒したものか、それともそうやって
嬌羞を作っておいて油断させようというつもりからか、くねりと身をくねらせながら長い....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
た。しかし廊下で彼に微笑みかけるようにしている彼女の顔が、何か際どく目に立たない
嬌羞を帯びていて、どこかで見たことのある人のように思えてならなかった。――やがて....
「魚玄機」より 著者:森鴎外
機が尋常の女でないことを知った。何故と云うに、この花の如き十五歳の少女には、些の
嬌羞の色もなく、その口吻は男子に似ていたからである。 温は云った。「卿の詩を善....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
させるためにはまず第一に必要なことであった訳で、ただこの際の文学主義はまだ一種の
嬌羞をもっていたから、今日のような幇間性をば「大胆」に告白しなかったまでだ。 ....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
り人聞きのいいものではない。貴族院でもこれに類した決議案が出たが、流石にここでは
嬌羞《はにか》みながら話は進んだ。処が政友会総裁の国体明徴決議案の方は、その退屈....
「再び科学的精神について」より 著者:戸坂潤
ッキリしないことこの上もない似而非日本主義の観を免れない。凡そ、西洋の真似をした
嬌羞める日本主義の媚態位い清々しからぬものはないのである。 さて教学の精神を最....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
た事もあったが、彼ははにかんで一度も演壇に立たなかった。がそのはにかみ方も処女の
嬌羞を連想させるようなところがあった。 廊下で出逢ったりする時彼は明らかに私に....
「殺意(ストリップショウ)」より 著者:三好十郎
いて、顔をかくして、手元の骨の間から客席を見る。その片頬にさざなみが寄せるような
嬌羞のほほえみ。……やがて扇を胸にさげる) どう言えば、よろしいのでしょう?....
「クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
観念論なる批判主義に対して殆んど何等の同情を有たない。カントの体系に於ける所謂「
嬌羞みやの唯物論」の不徹底さや、非弁証的な形而上学や機械論の欠陥をば弁護すること....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
、政枝は頸をひねって一寸髪に手をやり、掛け毛布の下で細い体を妙にくねらせた。その
嬌羞めいた仕草が多可子を不意に不快にした。見れば耳の附根や頸すじに薄ら垢が目に附....