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子持
「子持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
子持の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
宅を抜けて来る事も稀ではなかった。牧野はもう女房ばかりか、男女《なんにょ》二人の
子持ちでもあった。
この頃|丸髷《まるまげ》に結《ゆ》ったお蓮は、ほとんど宵毎....
「海異記」より 著者:泉鏡花
近ごろ別家をしたばかりで、葺いた茅さえ浅みどり、新藁かけた島田が似合おう、女房は
子持ちながら、年紀はまだ二十二三。 去年ちょうど今時分、秋のはじめが初産で、お....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
。同胞姉妹が屍を並べてたおされているのも知らずに、牛はのそのそ引き出されてくる。
子持ちの牛はその子を振り返り見てしきりに鳴くのである。屠手はうるさいともいわず、....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
ぼ道、朝に晩にながめたこの景色、おもむきは昔の記憶に少しも変わらないが、あまたの
子持ちとなった今のわが目には特別な意味を感ぜぬわけにゆかぬ。昔日のことが夢でなく....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
やッぱり、井筒屋の芸者であったのを引かしたのだ。二十歳の娘をかしらにすでに三人の
子持ちだ。はじめて家を持った時、などは、井筒屋のお貞(その時は、まだお貞の亭主が....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
「でも、箒はあんまりひどいわ。」 谷のお母さんもやはり家の母と同じように大勢の
子持だった。そしてやはりよくその子供を打った。しかし母にこの抗議をする資格は十分....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
去年の夏、たしか八月の末と思う、―― その事のあった時、お染は白地|明石に藍で
子持縞の羅を着ていたから、場所と云い、境遇も、年増の身で、小さな芸妓屋に丸抱えと....
「露肆」より 著者:泉鏡花
着く見窄らしげな可哀なのもあれば、常店らしく張出した三方へ、絹二子の赤大名、鼠の
子持縞という男物の袷羽織。ここらは甲斐絹裏を正札附、ずらりと並べて、正面左右の棚....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
。) とヘマを言って、ああ厭味だと思って、冷汗を掻いた処を、 (お人が悪いよ、
子持だと思って、) これにまたヒヤリとしたように覚えている。」 「それと同時に....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
の幼弟幼妹等を真の子として楽しんで育て上げて行こうじゃないか。足下には急に大勢の
子持になってずいぶんと骨も折れようが、何分よろしく頼む。 本月は面会にも来れま....
「停車場の少女」より 著者:岡本綺堂
い。」 Mの奥さんはこういう前置きをして、次の話をはじめた。奥さんはもう三人の
子持ちで、その話は奥さんがまだ女学校時代の若い頃の出来事だそうである。 まった....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
ろじゃア無い、前祝いに一升|提げて来ますよ」 「有難い。魚は海※も結構だッたが、
子持の蟹が有ったら二三バイ頼むぜ」 「好う御座んす。探して来ましょう」 慾に目....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
外套から、やがて両手を、片手でその手首を、さもいたわりそうに取って、据えると、扇
子持つ手の甲を熟と重たげに観て、俯向いて言った。 「未熟ながら、天人が雲に背伸び....
「妖怪学」より 著者:井上円了
とす。まず第一は餅なり。あるいは昆布、煮豆、数の子のごときもしかり。餅は金持ち、
子持ち等のもちを願うなりという。これ、音調の連想なり。 婚礼に関しては、かかる....
「娘」より 著者:岡本かの子
。だが、それは水の上でだけである。陸の上で会う松浦は、単にS会社の平凡で勤勉な妻
子持ちの社員だけである。水の上であの男に感じる匂いや、神秘は何処へ消えるか、彼は....