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「孤塁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

孤塁の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
山県有朋の靴」より 著者:佐々木味津三
た。 あたり一帯を、官員屋敷に取り囲まれてしまった中にはさまって、せめてもこの孤塁だけは守り通そうというように、うるんだ灯のいろの残っている街だった。 その....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
マダムは別だ)社会化されていない処のものだ。家庭は資本主義社会に於ける封建遺制の孤塁である。 この点日本が世界の模範であることは、日本婦人の美徳として讃えられ....
寄席行灯」より 著者:正岡容
朽の青春をもてあそびおり、二十年一日、旧東京招き行燈の灯影を恋おしみ、寄席文学の孤塁を守りいるものは、私ひとりとなってしまった。 だが、今にして私は思う、この....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の落葉や、秋風のさけびは、 「笠置は陥ちた」 「天皇も捕まったぞ」 と、赤坂の孤塁へ、夜も日も告げているようだった。 寄せ手の陣から、異様な唸りをひいて飛ん....
私本太平記」より 著者:吉川英治
っていた。 わずか千か、せいぜい千二、三百をこえていない。 大蔵の眸は、その孤塁へ、じっと吸いよせられていた。 五、六万騎とみえる寄手に、千早城の一千人は....
私本太平記」より 著者:吉川英治
という悲報は、しばしば、寄手方の宣伝につかわれていた。 敵はそれの矢文を、孤塁の兵に射込み、それには、 「ここの城も命旦夕」 「たれのために死ぬのか」 「....
私本太平記」より 著者:吉川英治
は、病人負傷者をのぞけば千人を欠いておる。それも草を食って、飢餓にたえつつ、この孤塁をささえてきた骨と皮ばかりな兵でしかない」 「でも決死の千人なら」 「しかし....
私本太平記」より 著者:吉川英治
な思いをしたかもしれないのだ。「……これが百七十余日、敵数万の包囲の中で、千早の孤塁をささえて来たあの大将か?」と、その風采や太刀粧いの見すぼらしさに、ふと軽侮....
私本太平記」より 著者:吉川英治
には、ご舎弟|直義さまをも、お見殺しになさるお腹でございましょうか。いまや箱根の孤塁には、譜代の御一族の全生命が、ただ一つのお救いのみを、ひたすら、お待ちしてお....
私本太平記」より 著者:吉川英治
くところはございませんでした」 「げに一ト頃は、この水分ノ館さえ焼き払い、千早の孤塁に冬をすごし、草を喰べ、よくぞ生きてきたものよ。しかも、その籠城中に、そなた....
黒田如水」より 著者:吉川英治
も出られなかった。 やむなく、夜毎に、全山に大篝火を焚きつらねて、彼方の味方の孤塁に、遠く、士気を添えている程度にとどまった。 一面、毛利軍は、海上でも堂々....