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安々
「安々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
洩らした。
「あの手紙は、――まさか、――房子だけは――」
一瞬間の後陳彩は、
安々《やすやす》塀を乗り越えると、庭の松の間をくぐりくぐり、首尾《しゅび》よく二....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、さらに一月ばかり経って見ると、反《かえ》って彼はそのために、前よりも猶《なお》
安々《やすやす》と、いつまでも醒《さ》めない酔《よい》のような、怪しい幸福に浸《....
「或る女」より 著者:有島武郎
》の上にうなだれている。すべての人は眠っている時に、木村の葉子も事務長に抱かれて
安々と眠っている時に……。
ここまで想像して来ると小説に読みふけっていた人が、....
「或る女」より 著者:有島武郎
廊下の冷ややかな空気は涼しく病室に通りぬけた。葉子は六月の末以来始めて寝床の上に
安々とからだを横たえた。疲労が回復するまでしばらくの間《あいだ》手術は見合わせる....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
ら》くの苦痛の後に、産婦はすぐ又深い眠りに落ちてしまった。鼾《いびき》さえかいて
安々と何事も忘れたように見えた。産婆も、後から駈けつけてくれた医者も、顔を見合わ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
えて笛吹川の死後、五日目に赤耀館へのりこんだのです。それからのちのすべては、いと
安々と彼の希望どおりに運んで行きました。綾子夫人も彼の執念ぶかい好色から手に入れ....
「蠅男」より 著者:海野十三
んで置いて、そして間髪を入れず、外からその手紙を拾えと電話をかけてくることがそう
安々と出来ることだろうか、一分違ってもその手紙は誰かに拾われるかもしれないんだ。....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
うに感じた。今朝まで痛みつづけた歯である。指でつまんで軽く揺すってみると、案外に
安々と抜けた。 なぜか知らないが、その時の私はひどく感傷的になった。何十年の間....
「春昼」より 著者:泉鏡花
で、客人のござる丘と、向うの丘との中に箕の形になった場所。 爪尖も辷らず、静に
安々と下りられた。 ところが、箕の形の、一方はそれ祭礼に続く谷の路でございまし....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ってなりません。貴方お察し遊ばして。 本当に慾も未来も忘れましてどうぞまあ一晩
安々|寐て、そうして死にますれば、思い置く事はないと存じながら、それさえ自由にな....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
り窓の戸をしめさせたのに相違なかったのである。 しかし汽車はその時分には、もう
安々と隧道を辷りぬけて、枯草の山と山との間に挟まれた、或貧しい町はずれの踏切りに....
「異妖編」より 著者:岡本綺堂
屋の家では寝てしまった。おなおさんはやはり怖いような悲しいような心持で、その晩は
安々と眠られなかった。 あくる日になって、お兼のゆくえは判った。近所の竹藪など....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
えた。所詮はこの二つが彼に一種の不安をあたえ、また一種の好奇心をそそって、今夜を
安々と眠らせないのである。 前者は僧の一身上に関することで、自分に係合いはない....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
それが鰻に通じたとみえて、かれはからみ付いた手を素直に巻きほぐして、俎板の上で
安々と裂かれた。吉次郎はまず安心して、型のごとくに焼いて出すと、連れの客は死人を....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
かも真っ直ぐに言うておくりゃれ。」 しかし相手はまだ半信半疑であるらしく、そう
安々とは彼に釣り出されそうもないので、権右衛門はまた思案を変えた。彼はすり寄って....