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安め
「安め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
いう合歓の木の花も散ってしまった。翁は寂しくなった。翁がこの木の下にしばし疲れを
安めるために憩うたのは、一つは、葉の茂みの軟かさにもあるのだろうが一つは微紅《と....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ったら、一生を終えるまで出ずにはすみはしまいかと――そんな当途《あてど》ない、心
安めを云い聴かせてまで生きているのが……。どう大兄さん、貴方ひと思いに死ねて――....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
のそう呟いたことを覚えている。「祖母さん、一所に越して来ますよ。」当てずッぽに気
安めを言うと、「おお、そうかの。」と目皺を深く、ほくほくと頷いた。 そのなくな....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ときもあるだろう。 だれでも考えそうな、たわいもない理屈を思い出して、一時の気
安めになるのも、実は払わねばならぬものは払い、言い延べのできるものは言い延べてし....
「画の悲み」より 著者:国木田独歩
然に対しても以前の心には全く趣を変えていたのである。言いがたき暗愁は暫時も自分を
安めない。 時は夏の最中自分はただ画板を提げたというばかり、何を書いて見る気に....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
だ二郎この度は万里の波上、限りなき自然の調べに触れて、誠なき人の歌に傷つきし心を
安めばやと思い立ちぬ。げに真情浅き少女の当座の曲にその魂を浮かべし若者ほど哀れな....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
りおくられしスリッパのごとく、小生に似合うものこれなく、三色すみれ、すなわち心を
安める花は、小生の愛する花にて、やさしきおくり主を常に思い起させてくれるものと存....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
なかった。 「相川さんのところにでも行って、泊ってしまったんでしょう。」母への気
安めを云った。 「だって、お友達は、みんな避暑に行ったと云って、こぼしていたんだ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いた文章を書いた。父は鶴見の文章を読んで、はじめて子供の文才を知って、少しは心を
安めたようであった。鶴見はそれがうれしかった。 性慾の磁気嵐、人生の球体面に拡....
「火の扉」より 著者:岸田国士
…。どうして、うそでもいゝから、おれといつしよに死ぬ、と言つてくれないんだ? 気
安めに、あとを追うとでも言つたらいゝじやないか。とにかく、それが夫婦の情というも....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
もうオロオロしている。 「尿毒性であると、よほどこれは危険で……お上さん、私は気
安めを言うのはかえって不深切と思うから、本当のことを言って上げるが、もし尿毒性に....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
弔い追善供養。三密|瑜伽の加持力にて、安養成仏諸共に、即身成仏兼ね得させん。心を
安めよ仏子源右衛門』 源右衛門(額ずきつつ)『老先短いこの年寄が、忰に代って生き....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
とばかり浮き沈む中で、聾同然の可心が、何慰めの言も聞き得ないで、かえって人の気を
安めようと、一人、魚のように口を開けて、張って(坊主でない、坊主でない。)と喚い....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
うだったのか――先刻からのこの医師の政枝に対するあしらいも矢張り死病の患者への気
安めのあしらいだったのか。流石患者のあしらいに馴れた医師の態度だと、多可子は華岡....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
たくない、花魁も泣いて入らっしゃるから、ちょいとおよって入らっしゃい、花魁の心を
安めてからお帰りとなさい」 伊「何んでえ、仲の幇間だから花魁の贔屓をしねえな「幇....