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安んずる
「安んずる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安んずるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
ひっきょうらくばく》とした孤独だった。この孤独に安んじた今日、――或はこの孤独に
安んずるより外に仕かたのないことを知った今日、二十年の昔をふり返って見れば、彼を....
「早春」より 著者:芥川竜之介
ではない。彼は三重子に同情するよりも彼自身の義務感に悩まされている。この義務感を
安んずるためにはもう十分ばかり待たなければならぬ。なに、三重子は必ず来ない。待っ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
のなり。……」
しかし少くとも常子だけは半年ばかりたった後《のち》、この誤解に
安んずることの出来ぬある新事実に遭遇《そうぐう》した。それは北京《ペキン》の柳や....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
駈《か》けさせたり。 怪しき美人は満面に笑《え》みを含みて、起伏常ならざる席に
安んずるを、隣たる老人は感に堪えて、 「おまえさんどうもお強い。よく血の道が発《....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
、目の下近く水が躍《おど》って、滝になって落つるのを見たら、人家が近づいたと心を
安んずるように、と気をつけて、孤家《ひとつや》の見えなくなった辺《あたり》で、指....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
眼目
明日の死骸検査で、何の様な事が分って来るか知らぬが、余は何うしても心に
安んずる事が出来ぬ、此の夜は殆ど眠らずに考えた、けれども取り留めた思案は出ぬ。
....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
疑も要せぬ。 肉体を安んじて精神をくるしめるのがよいか。肉体をくるしめて精神を
安んずるのがよいか。こう考えて来て自分は愉快でたまらなくなった。われ知らず問題は....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
にして、しかして不正の法、不能の人を説きて以為らく、「その法を犯さざればその身を
安んずるあたわず、その人を去らざればその命を保つあたわず、これ人その人にあらず、....
「運命」より 著者:幸田露伴
らず。 伯夷 量 何ぞ隘き、 宣尼 智 何ぞ円なる。 所以に 古 の君子、 命に
安んずるを 乃ち賢と為す。 苦節は貞くす可からずの一句、易の爻辞の節の上六に、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
んとするある種の芸術家はきっと外道に立っているのに違いない。われらが闇を闇として
安んずることができると誣うるのはきっとみずから欺いているのである。われらはその本....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
して之を懐にし既にワンセンヌに至りジデローを見るも猶お去気奪湧し血脈狡憤して自ら
安んずること能わず。ジデロー一誦して善しと勧めて更に敷演して一論を完結せしむ。ル....
「妖怪学」より 著者:井上円了
あるべし。これ、いわゆる精神作用なり。また、舟待ちするにも呪文を信じて、その心に
安んずるところあれば、たとい現に舟待ちすることあるも、さほどに感ぜざるべし。ゆえ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
り陸軍の嘱托教師ともなったが、ドレもこれも一時の腰掛であって、初めからその椅子に
安んずる意は少しもなかったのだ。ツルゲーネフの『ルージン』を初めゴーゴリやガルシ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
のも法律上満足を得ざる者も、みなよく満足して不平を鳴らさず争乱を醸さず、その堵に
安んずる者の多きはなんぞや。これ、宗教の影響にあらざるはなし。進みて政治上表面の....
「濫僧考」より 著者:喜田貞吉
い。彼らは実に当時の落伍者であった。権門勢家の輩が天下の富を私して、公民その生を
安んずること能わず、ことに当時の地方官の収斂誅求は極度に達して、いやしくも絞り取....