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安値
「安値〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安値の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
に、焼け残った京都という都会に眼をつけて、木屋町の廃業した料亭のあとを十五万円の
安値で買いとった。 そして、改造費や調度家具類に二百万円を投じて、どの部屋にも....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
では、いつも女房が泣きこんで来て、うちの亭主《ひと》は酔っ払っていたので、あんな
安値で引受けたのだといってぐちをこぼすが、しかし十カペイカ銀貨の一枚も増してやれ....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
っこうに人気がなく、いくら値を下げても買手がつかないので、ついには一冊一ペニイの
安値で古本屋の見切り本の箱の中にならべられる運命となった。出版してから三年ばかり....
「一坪館」より 著者:海野十三
彼らの商品はすっかりおさえられ、そしてそのまま没収されたものもあり、とんでもない
安値で強制買上げになったものもあった。 三人が留置場から出たときには、仕事がな....
「二少女」より 著者:国木田独歩
かった。しかしお秀の労働は決して世の常の少女の出来る業ではなかった。あちら此方と
安値そうな間を借りては其処から局に通って、午前出の時は午後を針仕事に、午後出の時....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
いで引くるめた。……羽織は、まだしも、世の中一般に、頭に被るものと極った麦藁の、
安値なのではあるが夏帽子を、居かわり立直る客が蹴散らし、踏挫ぎそうにする…… ....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
には行かんぞな。」 「でも、」 と蕈が映す影はないのに、女の瞼はほんのりする。
安値いものだ。……私は、その言い値に買おうと思って、声を掛けようとしたが、隙がな....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
ただ、ちょっと、入選さえ毎年つづけていればそれで知友と親族へ申訳が立つという位の
安値な慾望までが普及しつつあるかの如くである。 お引立てを蒙る、御愛顧を願う、....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
ようだった。全く人間の生命も金に見積るとセッターや、セファード、テリヤよりも案外
安値なものである。 絵描き貧乏と金言にもある通り、その一生といってもこれは主と....
「アンゴウ」より 著者:坂口安吾
へお売りでしたか」 「近所の小さな古本屋へまとめて売ってしまったのです。あまりの
安値で、お金がほしいとは思いませんけど、あれほど書物を愛していた主人の思いのこも....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
も交った調和が、かえって淋しく品の好い高級品屋の店頭より綺麗なのです。電燈までが
安値に心易い光をそれらの人達にきらきら浴びせる美しさ、そして暖かさ、みなクリスマ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
いな。 大阪人は実質派であるけれども、味覚的な実質、審美的な実質まで届かずに、
安値で一応味覚にかない満腹すれば足るという程度の実質派である傾きがある。だから大....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
と、農家の人たちは、お相撲さんか、ヤレ気の毒なと言って米だけでなく、鶏でも卵でも
安値でジャンジャン売ってくれる。 米の大袋を背負い、両手に十羽の鶏をぶら下げて....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
は新富座と競争の意味で特に値段を割引したものらしかったが、今から思えば嘘のような
安値なものであった。勿論、
安値であったればこそ、わたしも自分の小遣い銭を掃いて出....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
ならない。 帆かけずしというのはどんなものか食べた事はない。近来銀座にこういう
安値の食物屋が出来、中にはショウウインドーに、料理した食い物を飾ってあるが、あれ....