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安全弁
「安全弁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安全弁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
が、私はそれには賛成ができない。元来、統制主義は余りに窮屈で過度の緊張を要求し、
安全弁を欠く結果となる。ソ連に於ける毎度の粛清工作はもちろん、ドイツに於ける突撃....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
説「黒い眼と茶色の目」を出しました。私にとって自殺の第一刀です。同時に「生」への
安全弁でもありました。然し要するに自他を傷つくる爆弾であった事も諍えません。早速....
「焦点を合せる」より 著者:夢野久作
ハッ。ナアニ大丈夫だよ。爆発なんかしないよ。出来は古いがガッチリしているからね。
安全弁があんなに白いスチームを吐いているだろう……ブーブーいってるのが聞えるかい....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
ツした表情で云った。 「モウ……スピードは出ないな。機関長……」 「出ませんな。
安全弁が夜通しブウブウいっていたんですから」 「……弱ったな……」 この船長が....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
幾度となくそれをかくかもしれない。自分には猫の事をかくのがこの上もない慰藉であり
安全弁であり心の糧であるような気がする。 Miserable misanthr....
「鎖骨」より 著者:寺田寅彦
骨というものはこういう場合に折れるためにできているのだそうである。これが、いわば
安全弁のような役目をして気持ちよく折れてくれるので、その身代わりのおかげで肋骨そ....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
仕掛けになっているのではないかという疑いが起こる。言わば高圧釜《こうあつがま》の
安全弁のように適当な瞬間に涙腺《るいせん》の分泌物を噴出して何かの危険を防止する....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ンが爆発する!」 と、運転台へとびあがると、ハンドルをぐっとひねった。それから
安全弁をひらくやら、給水パイプのコックをひねるやら大騒ぎをして、やっとエンジンの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
というものがおれば、いくらかその間に緩和剤ともなり得るが、自分が去ってしまえば、
安全弁を抜きっぱなしで行くようなものだから、心もとない限りだ。 どちらに廻って....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かじめ道庵を入れて運ぶために備えつけられていた長持が無い限り、道庵の呼吸のために
安全弁が特設されてあろうはずもないから、いたずら心はいたずら心として、中に納まっ....
「波多野邸」より 著者:豊島与志雄
ていた。四十五歳の未亡人の彼女と、世間に名を知られてる五十歳の文士、それが却って
安全弁だった。体面への顧慮もあり、分別もあった。また、向う見ずな情慾も恐らくなか....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
束してくれる慶事慶兆であるかも知れん。宝塚こそは日本の地底の烈火を調節してくれる
安全弁ですかね。 宝塚の遊園地では、劇場と動物園だけが主として難民に占領せられ....
「自分と詩との関係」より 著者:高村光太郎
いる。 私の彫刻がほんとに物になるのは六十歳を越えてからの事であろう。私の詩が
安全弁的役割から蝉脱して独立の生命を持つに至るかどうか、それは恐らくもっと後になってみなければ分らない事であろう。....
「鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
。僕の病気は普通の薬では治らないのです。薬をのむ代りに、そこへ書くのです。つまり
安全弁です。姉さんだって、時々涙をこぼして日記を書くじゃありませんか。書いてしま....
「撥陵遠征隊」より 著者:服部之総
いて二週間目に上海へ帰りついたこと、結局この公判におけるジェンキンスの陳述には「
安全弁から吐出さるる蒸汽ほども真実味も認め難かった」こと、だが結局ジェンキンスは....