安坐[語句情報] » 安坐

「安坐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

安坐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
党生活者」より 著者:小林多喜二
ことだったが)、皆の間に大きな評判を捲《ま》き起したのである。私は机の前に大きな安坐《あぐら》をかいた。 暫《しば》らくすると、下のおばさんが階段を上がってき....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
置いて、黙っていた。 秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、大きく安坐をかいて、両手をはすがいに股に差しこんでムシッを踏みつけた小鳥のように、函館....
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし」より 著者:高村光雲
仏に見えるかね」 「大仏様に見えますとも」 といっております。大仏が印を結んで安坐している八角の台の内部が、普通の見世物小屋位あるわけになります。出来上がった....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ている。後は火焔で火の形である。ですから、これで立像も分る。「踏み下げ」も分る。安坐も会得する。柔和忿怒の相から水火の形という風に諸々の形象が含まれているのであ....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
地しつ。一年ぶりに母にあいて、絶えて久しきわが家の風呂に入りて、うずたかき蒲団に安坐して、好める饌に向かいて、さて釣り床ならぬ黒ビロードの括り枕に疲れし頭を横た....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
なければならない。だが――一つ驚いたことに、大連のかわりに、黒眼鏡がすぐ傍で、大安坐をかいて、黒パンの大きな塊りを片腕に抱え込んで、それを襤褸巾のように引き裂い....
獄中生活」より 著者:堺利彦
畏まるのだから、ずいぶん足が痛くなる。 食後一時間たつとみな胡坐をかく、これを安坐という。それから重禁錮の者は仕事にとりかかり、我々軽禁錮の者は本でも読む。し....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
現実につき当るのを避けるために勝手に自分を移動させるのではなく、観念中心は悠々と安坐しながら、逆に現実をば観念の周辺的フリンジによってしゃくい上げる。現実は観念....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
坐像であったことを知って、いささか力抜けがしました。 右の巨大なる石の地蔵尊が安坐しているその膝元には、まだ消えやらぬ香煙が盛んに立ちのぼり、供えられた線香の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ます。しかしながら、右手に鋭剣をとり、左手に羂索《けんさく》を執り、宝盤山の上に安坐して、叱咤暗鳴《しったあんめい》を現じて、怖三界《ふさんがい》の相を作《な》....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
見当を付けてやろう」 臍を固めた専斎はじたばたするのを止めにした。じっと静かに安坐したまま駕籠舁きの足音に気を配った。 駕籠はズンズン進んで行く。右へ曲がっ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
大仏に見えるかね」 「大仏様に見えますとも」 といっております。大仏が印を結んで安坐している八角の台の内部が、普通の見世物小屋位あるわけになります。出来上がった....
不在地主」より 著者:小林多喜二
った。 母は細引を手にもって、浮かない風に家の中をウロウロしていた。父は大きな安坐をかいたまま煙草をのんで、別な方を見ていた。――母は健を見ると、いつになくけ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て四端に聳えて居る群雪峰は互いに相映じて宇宙の真美を現わし、その東南に泰然として安坐せるごとく聳えて居る高雪峰はこれぞドーラギリーであります。あたかも毘廬沙那大....
神仙河野久」より 著者:田中貢太郎
八月の六日になって、河野は大和の葛城山へ登ってその頂上で修練を始めた。草の上に安坐趺跏して、己の精神を幽玄微妙の境に遊ばしている白衣を着た河野の姿は夜になって....