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安宅
「安宅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安宅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
間に、もとは五つの渡しがあった。その中で、駒形《こまかた》の渡し、富士見の渡し、
安宅《あたか》の渡しの三つは、しだいに一つずつ、いつとなくすたれて、今ではただ一....
「服装に就いて」より 著者:太宰治
追放令の一歩手前まで来ていたのである。この時にあたり、私は窮余の一策として、かの
安宅《あたか》の関《せき》の故智《こち》を思い浮べたのである。弁慶、情けの折檻《....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
はないので、舟が大川筋にはいると同時から注ぎはじめて、相生河岸《あいおいがし》、
安宅河岸《あたかがし》、両国河岸、厩《うまや》河岸と、やがて吾妻《あづま》河岸に....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
にも彫りつけてあるのです。 「本所外手町弁天小路たま」というのが一基。 「深川|
安宅《あたか》町大口横町すず」というのが一つ。 「日本橋小網町|貝杓子店《かいじ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
ません」 「近所の地名ですか何ですか。アタケといっていましたわ」 「ああアタケ、
安宅と書くのでしょう。ああ、それですっかり分りました」 と、春子女史はいった。....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
を血だらけにしたまま舞い続けたという。 ◇ 梅津朔造氏の「
安宅」の披露能の時であった。勧進帳が済んで関所を越え、下曲前のサシ謡のところへ来....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
たり上戸と下戸の口にあう鮨と餡ころの月旦を試みように、弥助は両国の与兵衛、代地の
安宅の松、葭町の毛抜鮨とか、京橋の奴や緑鮨、数え立てたら芝にも神田にも名物は五ヶ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
早く開けてくんな」 「お前一人で来たんだろうな?」 「こいついよいよ関所だわえ。
安宅の関なら富樫だが鼓ヶ洞だから多四郎か。いや睨みの利かねえ事は。……あいあい某....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
小取まわしで、大びけすぎの小酒もり。北の海なる海鳴の鐘に似て凍る時、音に聞く……
安宅の関は、この辺から海上三里、弁慶がどうしたと? 石川県|能美郡片山津の、直侍....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
って、小高い処を上らっしゃれ。そこが尋ねる実盛塚じゃわいやい。」 と杖を直す。
安宅の関の古蹟とともに、実盛塚は名所と聞く。……が、私は今それをたずねるのではな....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
「牛若だねえ。」 とて小親、両袖をもてわが背蔽いぬ。 「覚えておれ、鳥居前は
安宅の関だ。」 と肩を揺りて嘲笑える、渠は少しく背|屈みながら、紅の襯衣の袖二....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
らないのです」 京一郎は思い詰めた口調で、こうまともに母親へ云った。ここは本所
安宅町の、掘割に近い一所に、大きいが古く立っている、京一郎の家であった。その家の....
「兜」より 著者:岡本綺堂
邦原家の避難先へ連れて行けと言ったわけでもあるまい。蘇鉄が妙国寺へ行こうといい、
安宅丸が伊豆へ行こうといった昔話を、今さら引合いに出すわけにもゆくまい。 甚だ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
芥子の一重の散らむず風情。…… むかし義経卿をはじめ、十三人の山伏の、鰐の口の
安宅をのがれ、倶利伽羅の竜の背を越えて、四十八瀬に日を数えつつ、直江の津のぬしな....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
りの能登の田舎の方で知っている。もっとも、その時、間淵の尼の話した処では、加賀の
安宅の方から、きまって、尼さんが二人づれ、毎年のように盂蘭盆の頃になると行脚をし....