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安定感
「安定感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安定感の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「顔の美について」より 著者:伊丹万作
私の死ぬる前になれば、これはこれなりにもう少ししつくりと落ちつき、今よりはずつと
安定感を得てくるに相違ない。 だから私は鏡を見て自分の顔の未完成さを悟るごとに....
「道標」より 著者:宮本百合子
いた筈の自分が床の上から体ごと掬い上げられた経験は、伸子が自分についてもっていた
安定感を、ひっくるかえした。ポリニャークに、あんな風にやすやすと掬い上げられてし....
「五〇年代の文学とそこにある問題」より 著者:宮本百合子
かったし、未来のために警戒するべきことともうけとられていない。むしろ、既成勢力の
安定感として感じとられている。『群像』十二月号の創作月評座談会で、林房雄が、深刻....
「新しい抵抗について」より 著者:宮本百合子
情の中には、もとよりファシズムでもない、さりとて共産主義にもつきかねて、何処かに
安定感を求めている感情があります。わたしたちは、本当にもう戦争はいやだし、人間ら....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
なあるものの現われなのであって、ただそれがこの社会の一定層の成人にあり勝ちな生活
安定感を破らない限度において、安全な消極的な表現をしか試みないものに他ならない。....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ゆく同僚に嫉妬しなかった。末席は一番多忙でありながら、これ以上おちるところがない
安定感があった。いつまでたっても玄関脇の机と受付けの角で立ったり坐ったりしていた....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
もの、は見落されています。なかなか多くのものがふくまれている心持です。食うことの
安定感のためには、相当の因習にも堪えるというところ。因習に堪えないから、自活する....
「青春論」より 著者:坂口安吾
り伝わって流れてはいる。だが、親父の悠々たる不良ぶりというものは、なにか芸術的な
安定感をそなえた奇怪な見事さを構成しているものである。いつでも死ねる、と一口に言....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
最も俗悪なる意志による企業なのだ。けれども、否定することの出来ない落着きがある。
安定感があるのである。 いわば、事実に於て、彼の精神は「天下者」であったと言う....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
しさが感じられないのだ。 ヘプバーンのようなのッけからのあどけなさ無邪気さには
安定感がない。いつくずれるか分らない危ッかしさがつきまとっている。それは少女歌劇....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
その劇場に居る限りは、作者や教師、演者たちの機智にまかせきって、たのしめるという
安定感を与えてくれる劇団はそう多くはありません。その
安定感を与える力があれば、そ....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
がある。つまり真に肯定しているわけではないのだ。 さらにまた、ここにある一種の
安定感。――「ここまで来たのだ」という無用の自慰の弛《ゆる》みがある。 彼は土....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
の実力差を、暗に見くらべていたかがわかる。 直義は焦躁し出した。自分の位置の不
安定感が日と共に事実化されてくるのが分り出してきたのである。 重荷もあった。 ....
「挙国一致体制と国民生活」より 著者:戸坂潤
て生活安定の安心を得たいと願っているのだ。確かにこの所謂「挙国一致」は国民に生活
安定感を与えることが一応出来る。兵隊さん大いにやって下さい、と云うことで以て、気....