安座[語句情報] »
安座
「安座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
置いて佐藤の妻と広岡の妻とはさし向いに罵《ののし》り合《あ》っていた。佐藤の妻は
安座《あぐら》をかいて長い火箸《ひばし》を右手に握っていた。広岡の妻も背に赤ん坊....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
氷霜《ひょうそう》よりも皓《きよ》く、朝には三密の行法を凝らし、夕には秘密念仏の
安座を離れず、二|行彬々《ぎょうひんぴん》として豁然智度《かつぜんちど》の心萌し....
「阿部一族」より 著者:森鴎外
、算術が達者で用に立った。老年になってからは、君前で頭巾《ずきん》をかむったまま
安座することを免《ゆる》されていた。当代に追腹《おいばら》を願っても許されぬので....
「死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
び、無事では帰れないのではないかという危惧の念をさえ起こすのであった。 正面に
安座まします人間大の黒い阿弥陀如来の像は、和尚の差し出した蝋燭の灯に、一層いかめ....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
が、大乗菩薩の理想です。だから極楽に生まれ、浄土へ行っても、自分独りが蓮華の台に
安座して、迦陵頻伽の妙なる声をききつつ、百|味の飲食に舌鼓を打って遊んでいるので....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
るからです。矜羯羅が柔和で立像、制※迦が岩へ「踏み下げ」て忿怒の相、不動の本体は
安座であって、片手が剣、片手が縛縄、天地眼で、岩がある。岩の中央に滝、すなわち水....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
心なく物を言っては高笑《たかわらい》をする、その様子を見ると、手を束《つか》ねて
安座していられなくなる。 お勢は今|甚《はなは》だしく迷っている、豕《いのこ》....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
》さんの顔も大きな四角なお出額《でこ》で顎《あご》も張っている。そのくせ鼻は丸く
安座《あぐら》をかいていて小さい目は好人物というより、滑稽味《こっけいみ》のある....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ようにするのだといった。本町辺は薬種《やくしゅ》問屋の多いところなので、あたしは
安座《あぐら》をかいて、薬草《くすりぐさ》を刻んでいるのを見て知っていたからよく....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
の家で見るそれとおなじ楽器が私の家《うち》にもあったのだ。父が時たまとりだして、
安座《あぐら》をかいて、奏管《ろかん》(琴爪)で琴につけた譜面の星を、ウロウロ探....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
息を互いに会しいたるならざるか。柱鳴り瓦飛び壁落つる危急の場にのぞみて二人一室に
安座せんとは。われこれを思いし時、心の冷え渡るごとき恐ろしきある者を感じぬ、貴嬢....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
をして障子の隙から窃と覗いて見たら、デクデク肥った男が三枚も蒲団を重ねて木魚然と
安座をかいて納まり返っていたと笑っていた。また或る人たちが下司な河岸遊びをしたり....
「教育家の教育」より 著者:新渡戸稲造
ぞ此処で行儀を直さなければならぬ、姿勢を直すのは此処だぞ、疲労《つか》れた時には
安座《あぐら》をかいて飯を食いたい、寝て物を食たいが此処だぞ、飯を食う時に急かず....
「古事記」より 著者:太安万侶
》に降りついて、長い劒を拔いて波の上に逆樣に刺《さ》し立てて、その劒のきつさきに
安座《あぐら》をかいて大國主の命にお尋ねになるには、「天照らす大神、高木の神の仰....
「立春の卵」より 著者:中谷宇吉郎
念のために殻をとり去って、縦に二つに切ってみた。黄味は真中《まんなか》にちゃんと
安座していた。何の変りもない。黄味の直径三十三|粍《ミリ》、白味の厚さが上部で六....