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安普請
「安普請〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安普請の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
た。軒に松《まつ》の家《や》と云う電燈の出た、沓脱《くつぬ》ぎの石が濡れている、
安普請《やすぶしん》らしい二階家である、が、こうした往来に立っていると、その小ぢ....
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
ね。どうしたと言うんでしょう?」 「だから私が言わんことじゃあない。その通りだ、
安普請《やすぶしん》をするとその通りだ。原などは余《あんま》り経費がかかり過ぎる....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
」 女中の声が廊下で聴えた。 五 名前は清閑荘だが、このアパートはガタガタの
安普請で、濡雑巾のように薄汚なかった。おまけに一日中喧騒を極めて、猥雑な空気に濁....
「機関車」より 著者:佐左木俊郎
た当座に、長い逗留《とうりゅう》の客を当て込んで建てた家であった。簡易な別荘風の
安普請《やすぶしん》であった。併し、誰も借り手がなく、長い間あいていたもので、彼....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が裏口から忍び込む。その露路は抜け裏になっているので、こういう時には都合がいい。
安普請《やすぶしん》の古家ですから、年造は何の苦もなしに台所の雨戸をこじ明けては....
「島原心中」より 著者:菊池寛
惨というよりも、醜悪といった方が、適当でしょう。どれも、これも粗末な木口を使った
安普請で、毒々しく塗り立てた格子や、櫺子窓の紅殻色が、むっとするような不快な感じ....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
表二階の十畳間にとおされた。いい座敷だ。欄間も、壁も、襖も、古く、どっしりして、
安普請では無い。 「ここは、ちっとも、かわらんな。」幸吉は、私と卓を挾んで坐って....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
な哀詩などは考えないほうが健全でいいかもしれない。 工場のみならず至るところに
安普請の家が建ちかかっているのがこのあいだじゅう目についていた。ひところ騒がしか....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
は全然おもむきのちがった港だった。そのかわり、町をうずめている家々は、見るからに
安普請《やすぶしん》のものばかりであった。戦乱《せんらん》の途中で、ここを港にす....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
共を召抱えても法度《はっと》厳正に之を取締れば差支無いが、元来地盤が固く無い処へ
安普請をしたように、規模が立たんで家風家法が確立して居ないところへ、世に余され者....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
である。 亮作もこの別荘へ一度だけ招待されたことがあった。なるほど当座しのぎの
安普請で、部屋数は四間しかなかった。 鶏小屋が二つあった。大きい小屋に二三十羽....
「光は影を」より 著者:岸田国士
頃な一軒をすぐその場で買う契約をした。 十坪足らずの平家で、洋風とは名ばかりの
安普請だが、板葺屋根の雨漏りをなおし、満足なガラスは一枚もはまつていない窓や戸を....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
店があるという平凡な軒並も加奈子には珍らしかった。その筋向うに瓦斯器具一切を売る
安普請の西洋館がある。 外国に行く四年前まではこの家は地震で曲ったままの古家で....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
りはいいのですが、口上が癪ですよ。(真暗ですから。)が、仕方がない、押付け仕事の
安普請で、間取りに無理がありますから、玄関の次が暗いのです。いきなり手を曳いて連....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
」 公徳がおかしいのか、ふふっと誰かが笑った。 「てめえどもは、御覧のとおり、
安普請のバラック旅館にはちがいないのですがア。」 「梯子段はえれえよ。」 「へっ....