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安楽
「安楽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安楽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
《ねまき》に着換えた上へ、羽織だけ紋《もん》のあるのをひっかけたまま、円卓の前の
安楽椅子《あんらくいす》へ坐った。
「ただ今お茶をさし上げます。」
辰子《たつ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
。しかし茘枝《れいし》に似た細君や胡瓜《きゅうり》に似た子どもを左右にしながら、
安楽|椅子《いす》にすわっているところはほとんど幸福そのものです。僕は時々裁判官....
「路上」より 著者:芥川竜之介
か》に小綺麗《こぎれい》に出来上っていた。彼はその部屋へ大きな西洋机《デスク》や
安楽椅子の類を持ちこんで、見た眼には多少狭苦しいが、とにかく居心《いごころ》は悪....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
謀中村少佐は、西洋風の応接室に、火のついたハヴァナを啣《くわ》えながら、ぼんやり
安楽椅子によりかかっていた。
二十年余りの閑日月《かんじつげつ》は、少将を愛す....
「運」より 著者:芥川竜之介
、この清水《きよみず》の観音様へ、願《がん》をかけた事がございました。どうぞ一生
安楽に暮せますようにと申しましてな。何しろ、その時分は、あの女もたった一人のおふ....
「或る女」より 著者:有島武郎
った。葉子がはいって行っても、彼らは格別自分たちの名前を名乗るでもなく、いちばん
安楽な椅子《いす》に腰かけていた男が、それを葉子に譲って、自分は二つに折れるよう....
「或る女」より 著者:有島武郎
分は貞世のためにどこか第二流か第三流の病院に移ろう。そしていくらでも貞世のほうを
安楽にしてやろう。葉子は貞世から離れるといちずにそのあわれさが身にしみてこう思っ....
「星座」より 著者:有島武郎
が学問をするために牽《ひ》き起される近親の不幸(父も母もそのためにたしかに老後の
安楽から少なからぬものを奪われてはいるが)は、清逸をますます学問の方に駆りたては....
「聖書」より 著者:生田春月
ウィスキイの瓶と妙な恰好をしたキュラソオの瓶とを盆に載せて持って来た時、Kさんは
安楽椅子にずっと反身になって、上靴をつけた片足を膝の上に載せて、肱をもたげて半ば....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ないようにし、机の前の椅子に腰をおろした。椅子は蜥蜴の皮に近い、青いマロック皮の
安楽椅子だった。僕は鞄をあけて原稿用紙を出し、或短篇を続けようとした。けれどもイ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ら、「神様は天に善行の証しを示した」といった。 終に一八六七年八月二十五日に、
安楽椅子によりかかったまま、何の苦しみもなく眠るがごとくこの世を去った。遺志によ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
立派な教育者はまずまず申し分なく暮し、頭を働かす仕事には門外漢な連中には、えらく
安楽な生活をしていると思われたのだ。 先生というものは概して田舎の女性たちには....
「一老人」より 著者:犬田卯
。 二 村に百姓をして一生を過ごすものの夢想することも出来ないような
安楽な老後を送っている爺様がどうして発狂したのだろうか、ということについて、やが....
「迷信解」より 著者:井上円了
いいたり。一時の後ようやく本心に立ちかえり、自ら語るに、『山伏に誘われて、筑紫の
安楽寺という所の山中へ行き、八十歳あまりの老僧に面会したり。この老僧がおもしろき....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
しまった。政治界でも実業界でも爺さんでなければ夜も日も明けない老人万能で、眼前の
安楽や一日の苟安を貪る事無かれ主義に腰を叩いて死慾ばかり渇いている。女学校を出た....