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安穏
「安穏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安穏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
ら店の若い者と一しょになって着のみ着のままでかけ落ちをしてしまった。そこで、一家
安穏のためにした信心が一向役にたたないと思ったせいか、法華気違いだった旦那が急に....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
《こと》を弾《ひ》いたり踊りを踊ったり、古代の詩人の詩を歌ったり、頗《すこぶ》る
安穏《あんのん》に暮らしていた。そのまた鬼の妻や娘も機《はた》を織ったり、酒を醸....
「或る女」より 著者:有島武郎
婆やと定子……こんな純粋な愛情の中に取り囲まれて、落ち着いた、しとやかな、そして
安穏な一生を過ごすのも、葉子は望ましいと思わないではなかった。ことに婆やと定子と....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
は決して承知しなかった。 「わたしの夫が罪なくして殺された以上、どうしても相手を
安穏に捨てて置くことは出来ません。この場合、損得などはどうでもいいのです。たとい....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
手配不備のせいであったか、それから一月経っても、二月経っても、司直はミチミたちを
安穏に放置しておいた。しかし初冬が訪れると間もなくミチミは仮初の風邪から急性の肺....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
――八大竜王鳴渡りて、稲妻ひらめきしに、諸人目を驚かし、三日の洪水を流し、国土
安穏なりければ、さてこそ静の舞に示現ありけるとて、日本一と宣旨を給りけると、承り....
「転機」より 著者:伊藤野枝
でも極めなければならなくなったのだ。 「曲りなりにも、とにかく眼前の自分の生活の
安穏のために努めるか。遙かな未来の夢想を信じて『奴隷の勉強』をも、『乞食の名誉』....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
。祝言さするは、これ眼前。ただ、恨めしきは伊右衛門殿。喜兵衛一家の者ども、ナニ、
安穏に置くべきや。思えば思えば、エエ恨めしい。 と、月と葭を描いた衝立の蔭から....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のは勿体ないといったが、どうにもならない。 官制の改革は多数の犠牲者を出した。
安穏に眠を貪っていた官吏社会をはじめての恐慌が襲ったのである。維新当座どさくさま....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
、わたしが知慧を貸しに来ました。白柄組の頭と頼む水野殿が亡びた以上、お身達とても
安穏では済むまい。何かの御咎めのないうちに、いっそ見事に腹を切りゃれ」 播磨は....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
祖母は向島の小さい穏かな住居で、維新の革命も彰義隊の戦争も、凡て対岸の火事として
安穏に過して来ました。そして明治十二三年頃に、その一人娘をその頃羽振の好かった太....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
さるにても、妹はともあれ、与五郎は那須の一族。かれを此のように殺したからは、敵も
安穏には捨て置くまい。やがて射手の向うは知れたこと……。わらわの身を隠すべきとこ....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
して、他と交通が少かったのと、一つは豊富なる漁利によって、他の脅威を受くる事なく
安穏に生活することが出来たとの為に、永く固有の状態を継続する事を得たのであった。....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の僧侶はすべてラサ府へ引き移ることになりました。この法会はチベット法王が一年の間
安穏に過さるるようにという大祈祷会で、一ヵ月ばかり続きます。チベットではこの大法....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
いう奇蹟を伝記者は附け加えているが、そんなことぐらい、生きる上の幸福をも、死後の
安穏をも共々、宗教に求めている慧鶴には何の力にもならなかった。寧ろ宗教者の負け惜....