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安臥
「安臥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
安臥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「こころ」より 著者:夏目漱石
落ち付かない気分で、また三、四日を過ごした。すると父がまた卒倒した。医者は絶対に
安臥《あんが》を命じた。 「どうしたものだろうね」と母が父に聞こえないような小さ....
「明暗」より 著者:夏目漱石
》った。そこには彼の予期通り、白いシーツに裹《つつ》まれた蒲団《ふとん》が、彼の
安臥《あんが》を待つべく長々と延べてあった。羽織を脱ぎ捨てるが早いか、彼はすぐそ....
「門」より 著者:夏目漱石
し》いられている間、彼女の鼓膜はこの呪詛の声でほとんど絶えず鳴っていた。三週間の
安臥は、御米に取って実に比類のない忍耐の三週間であった。 御米はこの苦しい半月....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
当夜の反抗心を思い出しては微笑《ほほえ》んでいる。――もっとも苦痛が全く取れて、
安臥《あんが》の地位を平静に保っていた余には、充分それだけの余裕があったのであろ....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
牛舎には床上更に五寸の仮床を造り得た。かくて二十頭の牛は水上五寸の架床上に争うて
安臥するのであった。燃材の始末、飼料品の片づけ、為すべき仕事は無際限にあった。 ....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
穢物を吐いた。 「や、これはご病気と見える。まずまず座敷へお這入りなされて暫くご
安臥なさりませ」 純八は老僕に手伝わせ、急いで褥を設けると、老僧を中へ舁き入れ....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
らの外を眺めてみた。敷居から一段低くなって病室の前は広いテレスになって居り、藤の
安臥椅子が、いくつとなく、棟のテレスを蓋うた深い廂の下の、はずれからはずれまでと....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
製のたんかで婦人はまもなく、一同の手によって、左門洞へ運ばれた。 ベッドの上に
安臥させられた婦人は、一時間ばかりしてぱっちりと目をさました。かの女はふしぎそう....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
うと思うと、寝ていても気が気ではないのです。 永い秋の日を、一日一杯|寝椅子で
安臥している病院生活の間中、寝ても醒めてもただうつらうつらと、日となく夜となく頭....
「三国志」より 著者:吉川英治
、たのもしい」と、董卓も大いによろこんで、 「そちがおればこそ儂も枕を高くして、
安臥しておられるのだ。決して、寝所の帳か番犬のように、忘れ果てていたわけじゃない....
「三国志」より 著者:吉川英治
なごやかに幽雅な風色につつまれている。ふと、堂上を見れば、几席のうえにのびのびと
安臥している一箇の人がある。 これなん、孔明その人ならんと、玄徳は階下に立ち、....
「三国志」より 著者:吉川英治
途中も声すら出さなかった。 よほど打ち所が悪かったとみえる。周瑜は営中の一房に
安臥しても、昏々とうめき苦しんでいる。 軍医、典薬が駈けつけて、極力、看護にあ....
「三国志」より 著者:吉川英治
をして、無念の拳をにぎりしめた。 周瑜の侍医や近侍たちは、こもごもになだめて、
安臥をすすめた。 「怒気をお抱き遊ばすほど、破傷のご苦痛は増すばかりです。なにと....
「三国志」より 著者:吉川英治
、黄忠はそれから後のことは何も覚えなかった。彼が気づいてみたときは、味方の陣中に
安臥して、関興や張苞の手で看護されていた。 いや、誰かうしろで、自分の背を撫で....
「三国志」より 著者:吉川英治
をひいているのみだった。 「今は、追うも益はない。如かず長安に帰って、予も久々で
安臥しよう」 赤岸坡から引っ返して、帰途、孔明の旧陣を見るに、出入りの趾、諸門....