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定宿
「定宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
定宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
戸入りまでは都合のいい旅をつづけて来た。日本橋|馬喰町《ばくろちょう》の佐野屋が
定宿《じょうやど》で、主《しゅう》と家来はここに草鞋《わらじ》の紐を解いた。 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。 「どうも面白い見付け物はありません。御存知の通り、麹町の三河屋は屋敷万歳の
定宿《じょうやど》で、毎年五、六人はきっと巣を作っていますから、念のために其処《....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
んにも口を利いたことがございませんので、どんな用のある人か一向に存じません」 「
定宿かえ」 「去年九月頃にも十日ほど逗留していたことがございまして、今度は二度目....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
。だが、彼等を待っているのは、頭をはねる親方が、稼ぎを捲き上げてしまう、工場の指
定宿だった。うまいところがない。転々とする。持って行った一枚の着物まで叩き売って....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
理屋から取り寄せて貰った。当時はすでに故人となっていた有島武郎氏が京都ではいつも
定宿にしていたあかまんやという素人風の宿屋があったが、そこの女主人がいつも席上の....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、その実、土地馴れぬことは一目見ても分るのであった。 「どうして、親類どころか、
定宿もない、やはり田舎ものの参宮さ。」 「おや!」 と大きく、 「それでもよく....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
からは、いきぬきに、時々伊豆の湯治に出掛けた。――この温泉旅館の井菊屋と云うのが
定宿で、十幾年来、馴染も深く、ほとんど親類づき合いになっている。その都度秘蔵娘の....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
廊下へよびだして、 「大庭さんのお宿は、どこ」 きびしくせまる態度である。 「
定宿はありますけれど、そこへお泊りとは限りません」 「
定宿はどこですか」 「ぼく....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
へ店をもちましたが、羽ぶりがいいッで話さ。その高崎のお客てえのが、やッぱりここが
定宿の人さ」 アンマの問わず語り。 昔は「アンマのつかみ取り」という言葉があ....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
船は、八昼夜を海上についやしまして、事なく下関へ着きましたので、とりあえず薩摩の
定宿の、三浦屋というのへ投じました。十月一日の午後のことでございます。その翌日で....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
野融川は北斎を連れて日光さして発足した。途中泊まったのは蔦屋という狩野家の従来の
定宿であったが、余儀ない亭主の依頼によってほんの席画の心持ちで融川は布へ筆を揮っ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
り、もう一人は浪人らしい武士であった。 馬大尽井上嘉門を、乾児達へ出迎えさせ、
定宿明石屋へ送り届け、自分も行って挨拶をし、上尾へ出て来たついでとあって、乾児を....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
い男と浮かれている。あの氷垣という男は毎年一度ずつはここらへ廻って来て、曽田屋を
定宿としているので、姉とも妹とも関係しているらしいという噂を立てられている。なん....
「九段」より 著者:坂口安吾
に抱えている碁にくらべて劣勢であるからそれまで問題にならなかったが、将碁名人戦の
定宿の一ツになると、碁の旅館の看板ではさしさわりがあるから、その時以来、辻々に立....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
て、四人は或る旗亭で痛飲深更に及んだ。 その夜私は森山とは別々に、土田や石原の
定宿へ来て泊り、翌朝いよいよ森山と北見へ出発するために、雨のなかを私一人で停車場....