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宛行
「宛行〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
宛行の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
ら取出したのは、古い皮表紙の小形の洋書だ。先生は鼻眼鏡を隆《たか》い鼻のところに
宛行《あてが》って、過ぎ去った自分の生活の香気《におい》を嗅《か》ぐようにその古....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
とまり》です。然し、私は奥様のお古か何かで着せて頂いて、その外は相応な晴衣の御|
宛行《あてがい》という約束《きめ》に願って出ました。 金銭《おかね》で頂いたら....
「芽生」より 著者:島崎藤村
》いの畜生にも、人が来て頭を撫《な》でて、加《おまけ》に、食物《くいもの》までも
宛行《あてが》われるような日が来た。 私は庭に出て、子供のことを考えて、ボンヤ....
「新生」より 著者:島崎藤村
の港は乗客も少いという仏蘭西《フランス》船の中で、六つ船床のある部屋を岸本一人に
宛行《あてが》われたほどのひっそりとした時を幸いにして、彼は国の方に残して行く義....
「刺繍」より 著者:島崎藤村
おせんがこの部屋で菫の刺繍なぞを造ろうとしては、花の型のある紙を切地《きれぢ》に
宛行《あてが》ったり、その上から白粉《おしろい》を塗ったりして置いて、それに添う....
「護持院原の敵討」より 著者:森鴎外
陪席して申渡をした。 「女性なれば別して御賞美あり、三右衛門の家名相続|被仰附、
宛行十四人|扶持被下置、追て相応の者|婿養子可被仰附、又近日|中奥御目見可被仰附....
「真田幸村」より 著者:菊池寛
った。 信尹はやむなく引返して、家康にその由を伝えると、家康は「では信濃一国を
宛行わん間|如何にと重ねて尋ねて参れ」と言った。信尹、再び幸村に対面してかく言う....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
言上いたされました処、成程|半右衞門妻柳なる者は、長二郎の実母ゆえ親殺しの罪科に
宛行うべきものなるが、柳は奸夫幸兵衞と謀り、玄石を頼んで半右衞門を殺した所より見....
「家」より 著者:島崎藤村
お仙も嬉しそうに笑って、やがて夕顔を適当の厚さに切ろうと試みた。幾度か庖丁を
宛行って、当惑したという顔付で、終には口を「ホウ、ホウ」言わせた。復た、お仙は庖....
「家」より 著者:島崎藤村
言った。 「まだ、君、毎日|浣腸してますよ。そうしなけりゃ通じが無い……玩具でも
宛行って置こうものなら、半日でも黙って寝ています。房ちゃん達から見ると、ずっとこ....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
、御存じですかい? ルーマニヤを通る時は、百何十度という恐ろしい熱天に毎日十里|
宛行軍したッけが、其時でさえ斯うはなかった。ああ誰ぞ来て呉れれば好いがな。 し....
「支那米の袋」より 著者:夢野久作
して藻掻いているうちに、妾のまわりの叫び声が一ツ一ツに担ぎ上げられて、四ツか五ツ
宛行列を立てながら階段を昇りはじめたの。その時にはチョットの間みんなの叫び声は止....
「足袋」より 著者:島崎藤村
たりした、その白い新鮮な感じのする足袋の綴じ紙を引き切って、甲高な、不恰好な足に
宛行って見た。 「どうして、田舎娘だなんて、真実に馬鹿に成らない……人の足の太い....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
し、いわゆる「蝋色」に磨き出します。そうして鉄金具を四隅や錠前などに、たっぷりと
宛行います。金物にはしばしば毛彫が施され様々な紋様を現しました。引手金具も色々あ....