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「宛転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

宛転の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
》く住《とど》まり待て我祖父の鎧《よろい》を著《き》来って戦うべしとて便所に至り宛転《ころがり》て糞を目まで塗り往きて虎に向うと、虎大いに閉口し我まさに雑小虫を....
草枕」より 著者:夏目漱石
出門多所思。春風吹吾衣。芳草生車轍。廃道入霞微。停※而矚目。万象帯晴暉。聴黄鳥宛転。観落英紛霏。行尽平蕪遠。題詩古寺扉。孤愁高雲際。大空断鴻帰。寸心何窈窕。縹....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
に異性の傍聴者のある事を発見したのは演者の深く名誉と思うところであります。ことに宛転《えんてん》たる嬌音《きょうおん》をもって、乾燥なる講筵《こうえん》に一点の....
十二支考」より 著者:南方熊楠
わくこの蛇すなわち老蚯蚓の化けしところ、その大きさ大蚓を過ぎず、行は蛇に類せず、宛転《えんてん》甚だ鈍し、またこれを山蚓という〉。『燕石雑志』に、日向の大|蚯蚓....
十二支考」より 著者:南方熊楠
》す、駆りて角《すみ》に入らしむ、急を得て糞を失す、次第七人、皆打棒せられ、地に宛転《えんてん》す〉とあるから転化したのだ。 さて次に趣向の話しだが、今一つ同....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
も、虫の声にも、いささ黒血川の流れのせせらぎにも、和して聞ゆる一曲の管声が、今も宛転《えんてん》として満野のうちに流れているのです。 「ああそうでした、あの尺八....
村芝居」より 著者:井上紅梅
幾つかの火は舞台の明りか、それともまた漁りの火か。 あの声はたぶん横笛だろう。宛転悠揚としてわたしの心を押し沈め、我れを忘れていると、それは豆麦や藻草の薫の夜....
実さんの精神分析」より 著者:夢野久作
トテモ気楽な気持になる。文句なしにいいお能だなと思わせられる。そのほか粟谷さんの宛転自在さ。後藤さんのお手本のようにコックリとした演出味なぞ、いずれも立派な明る....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
永く後の世に留めているにすぎない。その時分に婀娜《あだ》な妓の可愛らしい朱唇から宛転たる鶯の声のようにほとばしり出て、遊野郎や、風流客を悩殺せしめた数ある謡の中....