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実の親
「実の親〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実の親の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
世に聞えたる文学士である。 道学者はアッと痘痕、目を円かにして口をつぐむ。 「
実の親より、当人より、ぞッこん惚れてる奴の意向に従った方が一番間違が無くって宜し....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
知れない。 世間に、より多い例は、両親のうち片親が――大抵は父親であるが――真
実の親であって、一方の親はそうでないにも係らず、その両親の真の子として届ける事で....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
前に、この山中にいた者じゃ」 「ははあ、さようでございますか」 「そうしてお前の
実の親とは深い関係のあるものじゃ。殊に死なれた母親とはな」 「……?」 「善、平....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
争いたくはないよ。……が、向こうのやり口が悪い。……娘に罪はないのだからな」 「
実の親子だ。逢いたかったまでさ。それでおおかた連れて行ったのだろう」 「私にはそ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
なくて、親分の実弟なんです」 と高橋が答えた。それで、なんとか組のなんとか氏が
実の親分でないことをようやく知ったのである。 ★ 熱海大火....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
「ああ随分怒っているよ。恩知らずの不幸者だってね。……そう親方が云うんだよ」 「
実の親でもない癖に」お錦はにわかに反抗的に「不幸者が聞いて呆れるよ」 「そうとも....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
父親を呼びかけるのに、弁才坊さんと云っている。 だがこいつは常時なのである。真
実の親子でありながら、お友達のような調子なのである。とても二人ながら剽軽なのであ....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
涙を流した。 正直な伊平は思いもよらぬ親子のめぐり逢いに驚いて、異議なくかれを
実の親に引渡すことになったので、七兵衛は多分の礼金を彼にあたえて別れた。お糸とい....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
なじようにお蝶を可愛がって育てた。お蝶はもちろんその秘密を知らないので、夫婦を真
実の親として慕っていた。 「今までは尼さんの作り話だと一途に思いつめていましたが....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
と見えます。卒業後|程なく緒方氏は大阪へ帰られました。 賀古氏と兄とは、終生真
実の親戚以上の交際を続けました。賀古氏は陸軍の依託学生なのでしたから、すぐに陸軍....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ゃ、赤子の時に村へ貰われて来た、と聞かされた時ほど、悲しかった事はなかったぞね。
実の親の家に居れば、何が何でも、この兄さんの……妹や。」 「恐縮だよ。」 「実の....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
を縦走する危険を聯想せずにはいられなかった。日常家庭生活においても二葉亭の家庭は
実の親子夫婦の水不入で、シカモ皆好人物|揃いであったから面倒臭いイザコザが起るは....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
子が出来た時分には誰の子か分らないけれども、その真実の阿父つぁんというのはその真
実の親の誰たるに拘わらず、まず一番の兄をもって父と呼びその他はおじと呼ぶことは前....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
むわが親方に重々恩を被た身をもって無遠慮過ぎた十兵衛めが処置振り、あくまで親切真
実の親方の顔踏みつけたる憎さも憎しどうしてくりょう。 ムム親方と十兵衛とは相撲....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
母様似だと他人様は仰しゃる、達也は誰が何と云っても自分の児だ。あんな虚弱な児を真
実の親でなくてどうして育て上げられよう。小夜子の頭には幼い頃からの数々の病気や、....