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実もない
「実もない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
実もないの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カズイスチカ」より 著者:森鴎外
「ええ。波動はありません。既往症を聞いて見ても、肝臓に何か来そうな、取り留めた事
実もないのです。酒はどうかと云うと、厭《いや》ではないと云います。はてなと思って....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
石子刑事は落胆して終った。それは彼の返答に曖昧な所がなく、警察署へ同行を求める口
実もないので、そのまゝ帰すより仕方がなかった。 石子は渡辺刑事の顔を覗ったが、....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
提出した条件がいれられたとなると、追いつめられたも同然の峰丹波、もはやなんの口
実もない。 やがて、朝。 庭の小広い片隅に、源三郎についてきている伊賀侍ども....
「芭蕉について」より 著者:宮本百合子
術家らしい現実的、写実的傾向に立っていて、門左衛門の劇作に対する抱負は、昔の花も
実もない浄瑠璃に対して、「文句に心を用うる事昔にかわり一等高く」、例えば同じ武家....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
その中汝も亦死線を越えて、われ等の仲間入りをするであろう。その時こそ、最早嘘も事
実もない。それまではしばらく間接的証明の蓄積によりて、一歩一歩自己の信念を固めら....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
で、短気で、自慢心強く、本気になることができず、強い感情をいだき得ず、なんらの誠
実もない者ども――音楽もなく、哲学もなく、詩もない(作詩法一冊とベランゼーとフラ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
復を自然、そつちの道を通つてということにした。別に、わざわざ立寄るほどの理由も口
実もないまゝに、いく月かは、たゞ、門の前をいくぶんゆつくり歩き、二階の窓をそれと....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
きつめればそういうものではあるが、何事につけても「二番目が酒です」式では人生花も
実もない。造った物はこわれる。人間は死ぬ。色即是空。これじゃ出家遁世する以外に手....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
正月が来るのであったが、これはいつまでも大晦日で、餅どころか、袂に、煎餅も、榧の
実もない。 一寺に北辰妙見宮のまします堂は、森々とした樹立の中を、深く石段を上....
「ふるさとの林の歌」より 著者:小川未明
す。この林の中にある赤い木の実も、なしの実も、また丘にあるくりも、畑にあるかきの
実もないものはありません。私は、それを見てきました。そして、まだ町を見ない友だち....