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「実り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

実りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
おぎん」より 著者:芥川竜之介
た沙漠《さばく》ではない。素朴《そぼく》な野薔薇《のばら》の花を交《まじ》えた、実りの豊かな麦畠である。おぎんは両親を失った後、じょあん孫七の養女になった。孫七....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
人の愛を知らねばならない。しからば現在の放逸と傲慢とはみずから消失するであろう。実りある思想はその後にのみ熟してゆく。真の自由と知恵とはその後において初めて獲得....
転機」より 著者:伊藤野枝
の花が咲きこぼれるのであろう。麦も青く芽ぐむに相違ない。秋になれば稲の穂が豊かな実りを見せるに相違ない。そうしてすべての生きものは、しあわせな朝夕をこの土地で送....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
は縦に啣える。 この、秋はまたいつも、食通大得意、というものは、木の実時なり、実り頃、実家の土産の雉、山鳥、小雀、山雀、四十雀、色どりの色羽を、ばらばらと辻に....
故郷」より 著者:井上紅梅
いておりますし、……どちらを向いてもお金の費ることばかりで、方途が知れません……実りが悪いし、種物を売り出せば幾度も税金を掛けられ、元を削って売らなければ腐れる....
水鳥亭」より 著者:坂口安吾
は耕作の知識がなかったので、つづいて金時に居てもらうことにしたが、二町歩の耕地の実りは大きいから、敵が上陸してくるまでは、金時の働きで左ウチワの生活ができるので....
前記天満焼」より 著者:国枝史郎
……しかしそれとて条件があって、国内は四民に不満なく、国外は外国の侵逼なく、五穀実り、天候静穏、礼楽ことごとく調うような、理想的政治を行なうなれば、預けまかせて....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
り癒った。……いや誠心で祈りさえしたら、一本の稲から無数の穂が出て、花を咲かせて実りさえするよ」 その時猿廻しは編笠を脱いで、恭しく辞儀をした。 その猿廻し....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
秋日和だった。空はすきとおってうららかで、自然界はゆたかな金色の衣をつけ、豊穣な実りを思わせるのだった。森は渋い茶色と黄色につつまれ、優美な木々は霜にうたれて、....
不在地主」より 著者:小林多喜二
――不意を喰ってしまった。立ち直る暇もなく、そのまま隊伍を潰して、横へそれると、実りかけている田の中へ、ドタドタと入り込んでしまった。見ている間に、靴の下に稲が....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
知るという話があります。また、柳の繁殖する年は豊作である、蛍火のない年は秋の田の実りがいいというようなことを、通俗に申し伝えております。これらは、いわゆる前もっ....
迷信解」より 著者:井上円了
手出ずるの類、いかなる理にてかくなるということ一切知るべからず。春は花さき、秋は実り、あるいは青くあるいは赤く、かかる色を地中よりだれが染めわけしや、云云」と述....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
を保ちうるであろう。私自らの資性にとってそれが容易であり、成績においてもあるいは実り多いかもしれないのである。しかしながら、私はもう退くことはできない。なぜなら....
牛女」より 著者:小川未明
くる年の春、またりんごの花は真っ白に雪のごとく咲きました。そして、夏には、青々と実りました。毎年このころになると、悪い虫がつくのでありましたから、今年は、どうか....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
る。これが田に蒔かれて、日光の直射や農夫の手入れの助縁を受け、そして秋一粒千倍の実りの結果が得られる。すなわち米は因果の道理で出来たものであります。 なるほど....